珠実の¥マーク 第3回「時短でも売り上げを下げたくない!」ー相談者 倉谷寛子(36)さん
珠実:はい。それはもう「値上げ」しかないのではないでしょうか?
倉谷:即答!笑 値上げ、ですか?
珠実:私ならそうします。倉谷さんのサロンワークの時間が短くなっている=自分の価値が上がっている、と私は考えます!
倉谷:なるほど、確かに。ちなみにカットの金額、ですか?
珠実:自分のお客さまの年齢層やメニュー比率を分析した方がいいですね。私は実際、今のGO TODAY SHAiRE SALONに移動したとき、カットを1000円、カラーを1000円、値上げしました。
倉谷:へえ、珠実さんも値上げした経験があるんですね。ちなみになぜ1000円ずつ、なんですか?
珠実:私は一般的な面貸しサロンから今の個室型のシェアサロンに移りました、なので“個室でしっかり対応できる”という環境に価値を感じたんですよね。また、1カ月に1度北海道に出張することも踏まえると、倉谷さんとは違う理由ですが、自分の時間の価値が高くなってきている感覚がありました。私はカラーだけのお客さまも多かったので、(1度の値上げでいかに顧客さま全体に反映させるかを計算したんです。)
限られた時間を使ってマンツーマンというスタイルを維持するためには、お客さまの平均単価を上げるしかありません。そのためカットだけではなくカラー料金もアップしよう、と考えました。
倉谷:そうなんですね! めちゃくちゃ考えてますね! ぶっちゃけ、お客さま、減りませんでした?
珠実:単価が上がってるので若干の失客はありましたが、売り上げは上がりましたよ。
倉谷:なるほど〜! でも、私だけ値上げする、っていうことになると、サロン内でどう受け止められるかなあ、という心配もあります。
珠実:その気持ちはわかります。でも、結果サロンの売り上げが下がる方がサロンにとっても、倉谷さんにとってもお互いマイナスじゃないですか? 倉谷さんの正直な気持ちで、オーナーさんに聞いてみてもいいのではないでしょうか?
倉谷:確かに。
珠実:まず思うのは倉谷さんなら値上げをしてもお客さまはきてくださると思います。ママになったんだから、時短になってもお客さまはご理解くださると思いますよ? 今までは、倉谷さんがお客さまに合わせていた、と思うんですけど、これからはお客さまも、倉谷さんに合わせてくれると思います。
また、お客さまと美容師っていろんな共通点から繋がっていくものです。お子さんを持ったことで、今後子どもがいる層も増えちゃったりするんじゃないでしょうか。本来、美容師にとってとっても魅力的なことなんですよ、家庭があたりママである、っていうのは。
倉谷:そう言ってもらえると、勇気付けられますね! 美容師が好きすぎて、仕事はお金じゃない、と思っていました。笑
珠実:素敵な考え方です! お金が全て、ではないですけど…美容師という経済活動としては、当然、サロン側には美容師に対して売り上げの要求があるのだから、美容師側も給料(報酬)の要求があってもいいはずです。美容師なくして、サロン(=会社)は成り立ちません。会社に対して、遠慮しすぎなくていいと思います。倉谷さんはたくさん指名のお客さまがいるということですから、十分サロンに貢献していますし、倉谷さんに続いて出産を控えているスタッフがいらっしゃるならなおさらです。
倉谷:はい、そうですね。後に続く後輩を思うと、私が挑戦してみてもいいかもしれません! 会社や周りに気を遣いすぎていた部分を見直して、もう一度勤務時間や料金体系について、相談してみようと思います!
珠実:是非。仕事でもプライベートでもハッピーに過ごしたいですよね!
「ワーキングマザー」という言葉をご存知でしょうか。そのまま「働く母」という意味ですが美容業界でもここ数年増加傾向にあるのです。
雇用されている方にはきちんと育休産休制度がある会社も近年は増えているということのようです。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/31.pdf/
(産休育休制度について参考厚生労働省HPより)
妊娠や出産と、仕事のバランス。どうしても女性だけ、あるいは自分だけの問題のようになってしまいがち。長時間労働低賃金
が当たり前の美容室業界ではありますが、そこは技術職。
自分自身で、時間労働だけではない価値を生み出せるのではないでしょうか。
周りの環境の理解や、自分のポジティブな意思も必要ですよね。働き盛りの女性が妊娠や出産を「マイナス」に捉えるのではなく、「プラス」に考えられるようにしていきたいですね!
(文/珠実・撮影/菊池麻美)