知らないとこんなに損をする! 美容師の社会保険
美容師の求人広告にもよく出てくる「社会保険」の文字。「なんだか加入しているとよさそうな気がする・・・でもなんのことだかはっきりとはわからない」「毎月お給料から引かれてるけどなに?」なんて人も多いのではないでしょうか? 実は就職するにあたって社会保険の有無はとっても大切なこと。「社会保険とは何なのか」「自分とはどんな関わりがあるのか」簡単にでも知っておくと、あとあと後悔・・・なんてことになりませんよ。
まず、社会保険ってなに?
社会保険は日本の社会保障制度の1つです。狭くは「健康保険」「厚生年金」「介護保険」の3保険、広くは「雇用保険」「労働保険」までを入れた5保険を指すのが一般的です。
とても大まかに言えば、病気や怪我、加齢などで“働けない状況”になったときに助けてくれる制度で、一定の基準を満たした事業所は加入の義務が発生します。
それぞれの保険がどんなものなのか、まずは簡単に知っておきましょう。
健康保険
病気や怪我に対する保険です。病気や怪我で病院に行ったとき“健康保険者証”をだしませんか? 健康保険が適応される医療費は自己負担3割で受けることができます。また、病気や怪我をして働けない状況のときや産前産後休業期間中には給与額の約3分の2の保障があります。なくてはならない保険ですね。他に国民健康保険などがありますが、会社に入社した場合通常は健康保険が適用されることになります。健康保険の適用を受けている事業所に常時雇用されている従業員は、すべて加入対象です。
厚生年金
労働者が加入する公的な年金制度です。老後や、障害になり長期間働けなくなった時や亡くなってしまったときの残された家族の所得保障になります。厚生年金保険の適用を受けている事業所に常時雇用されている従業員は、すべて加入対象です。
介護保険
上の2保険とセットで40歳になると自動的に加入することになります。介護が必要になったときのための保険で、高齢化に伴い2000年から新たに設けられました。
雇用保険
被雇用者が何らかの理由で失業したときに、再就職するまでの間、一定の期間給付金を受けとることができます。また、育児休業期間中は育児休業給付金を受け取ることができます。雇用保険の適用事業に雇用される場合は、加入対象です。
労災保険
仕事中や職場への行き帰りに事故や災害にあった場合に保障がうけられる制度です。事故や怪我などに備える保険です。従業員を雇用している事業は必ず加入しています。
自分の負担額はどのくらい?
保険料は事業主と従業員とが分けて支払うことになりますが、保険によって支払割合が変わってきます。健康保険・厚生年金・介護保険は事業主と従業員で折半となり、労災保険は全額を事業主が負担します。雇用保険については、給与の総支給額の0.5%を従業員が、0.85%を事業主が負担します。健康保険・厚生年金については、強制適用事業所と任意適用事業所の2種類があります。どちらにあたるのか就職時に確認しておく必要がありますね。
<保険自己負担額例> ※健康保険・厚生年金・雇用保険の場合
給与の総支給額が20万円の場合
健康保険 ¥9,970
介護保険 ¥1,580
厚生年金 ¥17,828
雇用保険 ¥1,000
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合計 ¥30,378
給与の総支給額が30万円の場合
健康保険 ¥14,955
介護保険 ¥2,370
厚生年金 ¥26,742
雇用保険 ¥1,500
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合計 ¥45,567
「わかんないからいいや」が本当はおそろしい
これまでは、業界全体に入らない、入れない傾向があった美容業界ですが、最近では、働く美容師のことを考え、社会保険に加入する美容室が徐々に増えてきています。
では実際に社会保険に加入した美容師さんたちはどう感じているのでしょうか? 美容師派遣サービス『リクエストQJキャスティング』で社会保険に加入している美容師の方々に聞いてみました。
<肯定派>
「長く働きたいので安心して働ける環境になってうれしい」
「退職後も安心」
「親からもしっかりしたところに入れと言われていたので、社会保険に入れてよかった」
「妻を扶養に入れることができたので家庭全体の保険料が減った」
<否定派>
「厚生年金って特に今までなかったのにいるの?」
「手取りが下がるのがイヤ」
やはり社会保険について“知らない”と何かよく分からないけど手取りが減ってしまうと感じる人もいるようです。でもそれぞれの保険の内容を考えれば必要なことはよくわかりますよね。また「大手美容室なら必ず加入している」「個人店や派遣では加入できない」とは限りませんので、就職する際にもなんとなく流さずに加入の是非を確かめましょう。
病気になったとき、ふいに働けなくなったとき、失業したとき、老後、それぞれ必要なお金について考えたことがありますか? 社会保険でまかなってもらえるお金を自分で出すのは多大な負担です。わからないからと放っておかず、就職時、退職時、きちんと保険の確認をしましょう。
(取材・文/QJナビ編集部)
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