フリーランス美容師の確定申告実践講座。基本の流れやお得なポイントを、税理士さんに聞きました
さまざまな控除を活用して節税!
基本がわかったところで、次は応用編! 2019年分の確定申告で納税額がお得になる方法をご紹介します。来年の確定申告に向けて以下の手段を採用してみてはいかがでしょうか。
1. 青色申告で控除額をUP!
「確定申告には白色申告と青色申告の2種類があり、青色申告の場合は最高で10万円または65万円の特別控除が受けられます。
青色申告は、白色申告と比べ帳簿の作成が難しく、事前に申請書の提出が必要です。白色申告より手続きに手間がかかりますが、青色申告はお得な特典があります。
青色申告の中で作成が簡単なものだと10万円の控除、作成が難しいものだと65万円の控除になります。
10万円の控除でも節税効果はありますが、65万円の控除を受けたい場合は青色申告会や税理士会などのサポートを受けたり、市販のテキストを購入したり、相談会に足を運んだりするといいでしょう。記帳方法を勉強できます」(萩原さん)
2. 小規模企業共済やiDeCoなどを活用し節税!
「節税にはさまざまな方法があります。年間の医療費が一定額を超えた場合は、『医療費控除』が受けられますし、生命保険や地震保険に加入すればその保険料も所得控除の対象となります。ふるさと納税などの『寄附金控除』も返礼品がもらえてお得です。特に節税効果が大きいのは、毎月一定額を積み立てる小規模企業共済やiDeCoで、月の掛金が全額所得控除の対象となります」(萩原さん)
確定申告は難しくない! ツールや無料サービスを活用して申告することが大切!
事務作業が苦手だとついつい後回しにしてしまいますが、確定申告は1年間の自分の売上を見つめる作業でもあります。「前年よりも売上が伸びたな」、「このままいけば、来年には自分の店を出せるかも!」そんなことを考えるきっかけにもなるはずです。
最後に、確定申告に不安を感じているフリーランス美容師のみなさんへ萩原さんからメッセージをいただきました。
「難しそうに感じますが、手順に従って一つひとつ整理していけば確定申告は決して難しいものではありません。また、便利なアプリやツールを使えばややこしい計算をする必要もありませんし、確定申告の期間中は無料相談会が各地で行われています。先延ばしにしたり、諦めたりしないで、きちんと申告することをおすすめします。
また、フリーランスの美容師の中には将来は自分のお店を持ちたい方もいるでしょう。開業時は開業資金として融資を受ける必要が出てきますが、きちんと確定申告していないと融資の障害となる可能性があります。そうならないためにも確定申告はとても大切な手続きです」(萩原さん)
※本記事掲載の情報の正確性については、掲載時点において万全を期しておりますが、掲載内容に関して一切保証するものではありません。詳しくは、お近くの税務署や税理士にお尋ねください。
- プロフィール
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萩原健志税理士事務所
代表/萩原 健志(はぎわらけんじ)
横浜市・品川区周辺の美容師開業に強みをもつ税理士事務所を運営。『美容室の開業と経営を融資と経理でサポートする会計事務所』をコンセプトに、これまでの実績と経験に基づく実務の面から若いサロンオーナーの夢をしっかりバックアップ。代表の萩原氏の両親は30年以上理容室店を経営しており、その様子を幼いころより見て育つ。
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(取材・文/小沼理 撮影/QJナビDAILY編集部)