フリーランス美容師の確定申告実践講座。基本の流れやお得なポイントを、税理士さんに聞きました
確定申告をスムーズに進める3つのポイント! 会計ソフトを使えば簡単?
次に、確定申告をスムーズに進めるポイントを萩原さんに伺いました。自分の所得を計算する前に、基本を押さえておきましょう。
1. 税金計算の流れを知る
「税金の計算は、大きく次の3つのステップに分けられます。この流れを把握した上で、各ステップで必要な書類を整理するとスムーズです」(萩原さん)
STEP1. 所得の計算
「所得は種類によって計算方法が違います。そのためまず、フリーランス美容師としての報酬や、従業員としての給与など、収入を所得の種類ごとに分けてください。経費も所得の種類区分ごとに分けます。
区分ごとに集計した経費は、同じ種類区分の収入から引き、最後に、種類分けしていたそれぞれの所得を合算します」(萩原さん)
STEP2. 所得控除の計算
「所得控除とは、STEP1で計算した所得から引かれる金額です。所得控除の対象である生命保険料控除や扶養控除、社会保険料控除、寄付金控除などをそれぞれ計算して合計します」(萩原さん)
STEP3. 税金の計算
「最後は、STEP1で計算した所得から、STEP2で集計した所得控除の金額を引きます。ここで算出された金額に応じた税率を掛けたものが、1年分の所得税です。
ただし、予定納税していたときや、住宅ローン控除を受ける場合、給与から所得税を源泉徴収されていた場合は、これらを引いた後の金額が納税額となります」(萩原さん)
※予定納税:所得税を前払いすること。
2. 会計ソフトや会計アプリを活用をする
「会計ソフトや会計アプリは、記帳や税金の計算など、確定申告書の作成に便利な機能が備わっています。初心者向けのものは、会計の知識がなくてもすぐにはじめられ、簡単に扱うことができるので、有効活用すると確定申告がスムーズです。
国税庁のホームページでも、無料で利用できる確定申告書作成ツールを公開しています。初心者向けで説明が丁寧でわかりやすいため、はじめて申告するフリーランス美容師は試してみてください」(萩原さん)
3. 領収証は日付順ではなく、科目ごとにまとめる
「むやみに支払ったすべての領収証を集めても後から整理するのが大変になるだけです。あらかじめ経費となる支払内容を決め、該当するものだけを集めておくと整理が簡単になります。
また、経費として計上するには領収証が必要です。経費には仕入高や消耗品費などさまざまな勘定科目がありますが、あらかじめ領収証を勘定科目ごとに分けて整理しておくと、会計ソフトへの入力がスムーズになります。
領収証を整理するとき、多くの人は日付順にまとめがちですが、日付は会計ソフトが自動で並べ替えるため、勘定科目ごとに分けておくほうが、ミスが減りスピードも上がります」(萩原さん)