女性美容師はもっと稼ごう! 珠実さんからのメッセージ
「女性美容師はもっと稼ぐべき!」と言う(が持論の?)フリーランス美容師、珠実さん。彼女が、女性美容師の『稼ぎ方』ついて診断をする連載がスタートします。第1回はご自身のキャリアとお金についての考え方を語っていただきました。
お客さんゼロから一転、ロリィタ変身写真が大流行
―現在、フリーランスの美容師として、原宿のほか、地元札幌でも活躍する珠実さん。ご経歴を教えていただけますか?
「北海道美容専門学校を卒業して、ACQUA原宿に就職しました。その後、青山界隈や、都内住宅地のサロンでの住宅地の店舗や青山店でのアシスタントを経て、スタイリストになる頃に、ACQUAの先輩が独立開業したdeaに入社しました。
ところが、スタイリストデビューしてすぐだったので、まったくお客さまがつかず……。街で声をかけたり、チラシを配ったりと試行錯誤していたのですが、全然だめで。その頃、ロリィタファッションをまとって写真を撮影するサービスを始めたいというお客さまに誘われて、ヘアメイクとしてお手伝いすることになったんです」
―deaのオーナーさんも、応援してくれたんですね。
「そうですね。変身写真ヘアメイクの仕事は美容師の業務(カットやカラー)だけではない副業なのでオーナーに許諾を取ったのですが、お客さんがつかない私に『それがキャラクターになるんだったら』ということで、やらせてもらえました。そうしたら、それがものすっごく流行ったんですね。当初は美容室の2階の空きスペースにロリィタ服衣装を置いてお客さんに着替えてもらい、ヘアメイクをして写真を撮って、ということをやっていたのですが、全国各地から300名以上の方が訪れました。
どこからかファッションビルのテナントさんがそれを聞きつけ、出店してみませんかというお話要請がきて。ラフォーレ原宿のロリィタファッションの聖地とも言えるフロアに出店することになったんです。そこでは、スタイリングディレクターという形で、美容・洋服などサービス全般、運営管理を担当し、4年半勤務しました」
―美容室でも働きながら、ということですよね?
「はい。正社員としてdeaに勤務しつつの副業がラフォーレ、っていう形のダブルワークですね。ロリィタの変身写真が流行ったおかげで、美容室の予約も3カ月先まで埋まるようになって。美容室の定休日を含め、週の半分はラフォーレで働き、半分は美容室で働くということをやっていました。
ラフォーレからいただく収入は外部売上技術売上として、美容室と私で分けるような形です。サロンワーク以外の収入があるという意味では、ヘアメイクの仕事がいっぱいある美容師さんと同じような感じですね」
お金がないと、精神のバランスが不安定になることも
―今回の連載のテーマである「稼ぐ」ということを考えはじめたきっかけはなんだったのでしょうか?
「2年前にdeaを辞めてフリーランスになったのがきっかけです。基本給がなくなるということで、お金に対する考え方が大きく変わりましたね。変身写真が流行って、忙しくなったと同時に、急にぶわっとお給料が増えたのは事実ですが、それは『もっと稼ぎたい!稼ごう』というのではなく、やりたいから、楽しいからやっている感じでした」
―珠実さんは、なぜフリーに?
「実は、私はフリーになりたくてなったわけではなくて。美容室の方針が変わって退職を余儀なくされてしまったんです。そこで、次に就職するサロンが見つかるまで後輩のスタイリストと面貸しで働こうと決めました。でも、そこからが大変で……。その後輩は、スタイリストになったばかりなので、フリーになってもぜんぜんお客さんがいないんですよ。いても、練習モデルだった格安の価格のでとっているお客さんが多くてまだ全然売上にならない。にもかかわらずアシスタントを1人連れてきて、『この子も一緒にやりたい』って言うんですよ。案の定、フリーランスで仕事をして間もなく、アシスタントのお給料が払えないばかりか、『自分の今までの基本給が稼げません』と言って泣き出されてしまいました。
私も、一緒のサロンでにフリーランスとして働き出した以上、後輩の子もアシスタントの子も見捨てられない。本当に『どうしよう?』ってなりました。後輩スタイリストの子は、いつもはそんな子じゃないですよ。美容が大好きで、頼んだことも笑顔でこなしてくれる、すっごくいい子なんです。だけど、フリーランスになってリアルにお金のことが身に迫ってきて、切羽詰まっちゃったんですよね。私はそこでお金がなくなるっていうのは、精神的なバランスを崩すんだって気づいたんです」
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