働きやすい環境づくりは、サロンにとって「大事な人」になることから!

復帰して、働くことのよろこびを改めて感じた

 

 

子どもができてからは子どもと二人で家にこもりっきりになり、実家も遠く主人も帰りが遅いため、子育てや家のことは、ほとんど全て、私一人でしていました。どんなに頑張っても、子どもはお礼を言ってはくれません。私の時間はほぼ「お母さん」になり、一人の人間として見られることが少なくなりました。ですが仕事に復帰してからはちゃんと名前を呼んでもらえ、お客さまから必要とされ、「ありがとう」と言っていただけるよろこびを改めて感じています。子育てだけだと行き詰まってしまうこともありますが、仕事があると生活にメリハリができ、子どもと一緒に過ごす時間をより大切にできるようになりました。

 

 

子育てをして気づいたのは、日本の社会は多様な生き方への対応が遅れているということ。産後も働き続けたいと思っても保育園に入れなかったり、ベビーカーや車いすでは駅も町も移動しにくかったり……。社会全体が若い人や困っていない人向けにつくられていて、バリアフリーやユニバーサルデザインになっていない。美容院もそうです。

 

「子どもを連れてきてもいいですよ」と伝えても、他にお子さん連れの方がいないサロンは行くのをためらったり、誰かに預けても気が気じゃないこともあります。産休中には、ベビーカーでも車いすでも行きやすい理想のサロンの設計図を、ひとり妄想していました(笑)。保育スペースがあれば、子育てにかかりきりの女性も安心してリフレッシュできます。一人の人間として過ごせる時間が増えれば、精神的にもっとラクになれるはずです。誰もが安心してくることのできるお店が増えればいいなと思っています。

 

♦♦♦ 応援メッセージ♦♦♦

 

 

出産や子育てをきっかけに美容師をやめてしまうのは、もったいないと思います。あきらめず、理想の環境を求めて仕事を続けてほしいですね。それには「こうしたい」と希望を伝えたときに、「うん」とうなずいてもらえる存在に自分自身がなること。「この人をサポートしたい」とまわりから思ってもらえるよう、日頃から一生懸命、練習や仕事に励み、周囲に認めてもらうことが大切です。「この人と仕事がしたい、手放したくない」と思ってもらえれば、その人が幸せになるためにはどうしたらいいかをサロンがきっと考えてくれると思います。

 

プロフィール
サチコ 

U-REALM omotesandoデザイニングディレクター。島根県出身。作業療法士になるため専門学校に入学後、方向転換して美容師を志す。島根県立東部高

 

 

(取材・文/揚石圭子 撮影/泉山美代子)

 

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