【銀座発・吉田ケン】サロンオーナー歴32年。58歳にしてマンツーマンサロンで再出発したドラマチックな美容人生! 原点に立ち戻って挑む、新たな挑戦とは
シェアサロンで気づいた、自由な働き方の心地よさと可能性
EGOから退いても、ありがたいことにお客さまは支持してくださったので、フリーランス美容師として銀座のシェアサロンのオープニングメンバーに参加することにしました。従来の美容室の経営のあり方に違和感を感じ始めていたこともあり、シェアサロンには興味があったんです。
そこは全個室型のサロンでスペース内にシャンプー台もあり、すべてが個室で完結するつくりだったんですね。その環境も新鮮でしたし、そこで働く美容師とは仕事上の接点はないものの、ひとつ屋根の下に集まってそれぞれがマイペースに働いていて、部屋の外でときどき交わすコミュニケーションの微妙な距離感がすごく心地よかったんです。みんなと仲良くなりました(笑)。またフリーランスの働き方を初めて経験してみて、時間の管理は自由にできるし、とにかく快適でしたね。1年間そこでお世話になりましたが、心も解放されて本当にいい時間でした。
だんだんと気持ち的に余裕を取り戻し、ここからまた新しいブランドを作るのか?と考えたときに、またもう一度同じことはしたくないということは強く思いました。美容室のコンサルティングや教育指導も頼まれていたので、今までの経験を活かしながら仕事を膨らませていくこともできるし、別に美容師だけで生きていかなくてもいいよなと。そんなことを考えていたら、弟子の一人である豊田笑子(『una』オーナー)が銀座4丁目に2店舗目の出店を考えているということで、いろいろと話していく中で僕もプロデューサーとして参加することになったんです。それで、現在はここでサロンワークをしながらコンサルの仕事や講師活動なんかをしています。
写真右/『una』オーナーの豊田笑子さん
ここはエステ専用の空間もあり、エステティシャンがフェイシャルとボディのトリートメントも提供しています。幅広い美容の知見をもつ豊田が、より可能性を広げられるように作ったお店なんです。サロンワークは二人それぞれが自分たちのお客さまをワンオペで施術していますが、大変なときは助け合えるという側面もあって助かっています(笑)。僕らはマンツーマンで月200万を売り上げるので、一日10人前後施術します。いつもみんなから驚かれますが、要はスピードなんですよ。ハサミのスピードは大前提で、最終的なスタイルの着地をしっかり頭の中で作って、無駄なことを一切しないというのが秘訣です。そして、次のお客さまの予約をメニューごとにうまく時間設定し、パズルのように組み合わせていくのが肝です。マンツーマンなので、お客さまは以前より喜んでくれています。