次回も来てほしいと選ばれ続ける人になる〜ヘアメイクアップアーティスト遠田眞里さん
相手との信頼関係が「美しさ」をつくりあげる
ヘアメイクで、かわいらしさや美しさをつくるためには、お客さまが何を求めているかを察知する洞察力や、それを引き出すコミュニケーション能力、期待に応えるための瞬発力が不可欠です。それらを発揮するためには、元気でいなければできません。ヘアメイクは、人に元気を与える仕事でもあるので、やはり自分自身が常に体調を整えて元気でいることが大切だと思います。
結婚式のヘアメイクでは、「結婚式、わくわくしますね」などとなるべくフランクにお声がけをしてリラックスしてもらい、楽しい気分になっていただけるように努めます。テレビ局や広告撮影の現場などでも同じようにリラックスした空気をつくり、出演者やモデルさんが撮影に向けてモチベーションをアップしていただけるように、心がけています。
そうしてお客さまとよい関係性をつくり、その方の好みや、どんなヘアメイクがその方を輝かせるのかを、探っていきます。目標は、出会ってからの短時間で、お客さまが、「こうなりたい」と自分の希望を気軽に打ち明けてくれるような信頼関係を築くこと。そして最も大切だと思うのはメイクをしてみてちょっと違うなとお客さまが思われたとき、それを言っていただける空気を作っておくこと。我慢して言えなかったら大切な思い出であるべき場が後悔の記憶になってしまいかねません。その方の美しさを引き出すためには、技術だけではなく、安心して任せていただける信頼関係が大切だと思っています。
仕事を次に繋げるためにも、人間関係は大事にする
24歳でメイクの仕事に出会ってから、ずっと、人との繋がりを大切にしながら、活動の場を広げてきました。何が仕事に繋がるかわからないので、常に仕事を念頭に置いて、人とお付き合いをするようにしています。
テレビ局などの現場では、他の制作スタッフとの繋がりも大切にしています。出演者の方が飲み物を飲もうとしていたら、さっとストローをコップにさしたり、「暑いな」という仕草をされたら、空調を調整したりあおいで風を送ったり。ヘアメイクは出演者の一番近くにいるので、その人の要求をAD(アシスタントディレクター)よりも早く察知して、動くことができます。現場では、仕事は自分で見つけること。それがヘアメイクの仕事ではないとしても、よりよい撮影のために、自分に何ができるのかを常に考えて動く、瞬発力を大切にしています。
そうした努力が認められ、他のスタッフさんと繋がりができれば、次も指名していただけたり、他の仕事を紹介してもらえたりすることも。一つの仕事を、次の仕事に繋げていくように努力することも、フリーランスでヘアメイクの仕事を続けていくうえでは、とても大切なことです。