自分にしかできない表現を追求して〜C・crew 柴谷恵梨香さんのオリジナリティの生み出し方
海外モデルのスタイルからインスピレーションを得て
ハイトーンのデザインは、ニューヨークやロシアなど、海外のモデルさんのインスタグラムやstoryから学ぶことも多いですね。欧米の方は自分でカラーリングをする方も多く、プロでは思いつかないような自由なアイデアが生まれます。思わぬ色を組み合わせたり、前と後ろで色を分けたり、70年代とか80年代のアーティストを真似したり、みなさんとても個性的です。
外国人の方がやっているのを、日本人でそのままやるのは難しいのですが、バランスを見ながら、イメージを少し寄せていくだけでも、すごくかわいくなります。
どこのメーカーの材料を使ったらどんな色が出るのかなど、ハイトーンの研究は、自分の髪でもやっています。自分に似合う色から試していきますが、失敗もたくさんあります。以前一度失敗してひどい切れ毛になってしまい、ウルフカットのようにしていましたが、その失敗から、お客さまのヘアケアを重視するようになりました。
今、イチ推しのスタイルは、黒とハイトーンが混ざったスタイル。微妙なニュアンスのペールトーンもおすすめです。硬くなりすぎない、柔らかい色みも推していきたいと思っています。
通い続けてくれるお客さまを大切にしたい
お客さまは、十代、二十代の、自分よりも少し年下の世代の方が多いですが、そうした方々が年齢を重ねてもずっと通い続けていただけるよう、大切にしていきたいと思っています。子育てをしながらでも通えるよう、こまめに手入れしなくても大丈夫なハイトーンなども提案していきたいですね。
もちろん、新規の若い年齢層のお客さまも増やしていきたいので、自分自身が、あまり大人っぽくなりすぎないようにもしたいと思っています。いつまでも、少し年上の「おねえさん」のような立ち位置で、ファッションや日常にあった出来事など、気軽に話してもらえる存在でありたいと思っています。
お客さまのお母さまなど、ご家族が通ってくださることもよくあります。ハイトーンカラーにしているスタッフが多いので、見た目で「あそこは怖いから行きたくない」と思われないよう、にこやかな対応を心がけています。気持ちがホッとゆるんでお帰りいただけるよう、リラックスできる雰囲気づくりを大切にしていきたいと思っています。
◇◇◇ 応援メッセージ ◇◇◇
仕事をやめたいと思うことは誰にでもあると思いますが、やめる理由を、環境のせいにしないでほしいなと思います。今はSNSもありますし、たとえ環境が悪くても、個人レベルで、お客さまにアピールすることができる時代です。
「職場環境が悪い」という理由でやめようかどうか迷っているなら、一度、「自分自身でできる限りの努力をしたかどうか」を自分に問いかけてみるといいと思います。迷うのは、まだ努力できることがあるからではないでしょうか。
スタイリストになる前にやめてしまうのは、「美容師とは何か」を知らない状態で、仕事の楽しさを知らないままやめてしまうことです。どんな場所でも、技術など、得られるものは何かしら必ずあるはずです。それすら得ないままにやめてしまうのは、ちょっともったいない。まず今自分のいる場所で、技術やセンスを最大限に吸収してからステップアップしていくことが、自分自身のためになるのではないかなと思います。
- プロフィール
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C・crewディレクター
柴谷恵梨香(しばや えりか)
神奈川県出身。住田美容専門学校卒業。都内有名サロンに就職し、7年間勤務。先輩が独立する際に、オープンスタッフとして「C-crew」に参加。独自のハイトーンカラーやデザインカットを打ち出し、十代、二十代を中心に人気を集めている。サロンワークだけではなく、雑誌などのスタイリストとしても活躍中。
(文/揚石圭子 撮影/泉山美代子)
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