苦手分野をどうカバーする? BLUE TOMATO、maiさんの無理のない働き方
尊敬できる先輩から「もっと学びたい!」と思った
MUDAIには、アシスタント時代から、多くのことを教わりました。感覚的な私には技術について理論的に教えてもらったことが、とても重要なことでした。
「なぜそれがかわいいのか。なぜバランスがいいと感じるのか」「どうしてその色を合わせるのか」「なぜそのように行うのか」など、デザインや技術の根拠を、わかりやすく筋道立てて教えてくれるのです。すると、それまで何気なくやってきたことが頭で理解でき、本当の意味で自分のものにすることができるようになりました。私は物事を感覚的に捉えるタイプですが、感覚的に行っているデザインや技術の裏にも、きちんとした理論があることを理解する重要性を実感したんです。
MUDAIが独立する際は、「まだもっと教えて欲しいことがたくさんある」と思い、ついてきてしまいました。とは言え、退職を決める際はかなり迷い、いろいろな本の中に答えを求めたり、自分の気持ちをノートに書き出して整理したりもしました。そのとき葛藤があり、さまざまな感情を経験したからこそ、今の自分があると思っています。
デザインはお客さまとのやり取りの中から生まれる
この美容室での私の役割は、常に新しく創造性のあるデザインをつくりだしたり、撮影でヘアメイクを担当したりして、クリエイティビティを発揮していくことだと思っています。
お客さまからのオーダーでは、「人と違うけれど、やりすぎず、ちょうどいいかわいいスタイルにしてほしい」というものが多いですね。そうしたオーダーに対しては、お客さまそれぞれのオートクチュールなデザインをしていきます。
お客さまとしっかり向き合い、そのファッションやメイクに合わせたり、コンプレックスのある部分をカバーしたり、いいところを引き出すようデザインにしたり。デザインの方向性を決める際には、外面的なことだけではなく、内面的なことも重要です。コミュニケーションを綿密にとりながら、「思いのあるデザイン」をお客さまとともにつくりあげていきたいと思っています。
トレンドを適度に取り入れながら、「当たり前」ではない新しいバランスをどうつくりあげていくか…お客さまとお話しながらイメージしていくと、必ずそのお客さまに合ったいいデザインと出会えます。それは、求められていることにストレートに答えるというものではなく、求められているものを一度飲み込み、それを超えて新たに出会うような、なんとも口では表現しにくい複雑な感覚です。デザインをするのはお客さまとの共同作業です。そのためにも何でも相談してもらえるような関係を築けるように心がけています。人としても髪のプロとしても信頼して頼ってもらえる存在でいたいと思っています。