期間を決めてがんばれば何かみえてくる!—ZACC増渕聡美さんのチャレンジ精神—

30代、自分自身を振り返り、新たな気持ちで仕事に向かう

 

 

30歳を過ぎたころ、自分が思うよりお客さまに支持してもらうことができずに行き詰まっていたこともあります。上司に「本当は自分で思っているよりも、人と向き合うのが苦手なんじゃないの? だから、お客さまのためにという気持ちが薄いのでは」と言われて、ドキッとしました。

 

「よろこんでもらいたい」という気持ちでがんばってきたつもりでしたが、どこか奢りがあったのかもしれない…と自分自身を振り返り、「このままではいけない、変わらなきゃ」と思いました。

 

まず、自分に自信がなかったので、自分をもっとよく理解して好きになろうと思いました。自信のある人は魅力的ですし、お客さまも魅力的な人に集まります。美容師として技術力を高めて自信をつけることも大切だと思ったので、休みの日に先輩の撮影に付いていって学んだり、言葉を勉強して、人への伝え方を考え直したりもしました。

 

そうした意識でしばらく過ごしてみると、スタッフやお客さまに対して気負わず自然体に接することができるようになりました。たくさんのお客さまに来店していただけるようにもなり、ヘアデザインすることも楽しくなりました。ただ一生懸命に働くだけではなく、内観して自分を客観的に見ることがいかに大切かを知り、この経験が大きなターニングポイントになりました。

 

 

プライベートも大事にする働き方へ移行中

 

 

期限を決めてがんばった時期や、自分を見つめ直す時間があったからこそ、今は仕事が安定し、自信がついて気持ちの余裕が持てるようになりました。36歳になり、「結婚しないんですか? 出産は?」などとよく聞かれますが、次のステージに行く準備期間のような気持ちでいます。

 

愛犬とともに暮らし、仕事以外に楽しみもできました。少し前まで自分のことで精一杯だったのに、「私にも、自分の周りの人たちや愛犬に気を配れる心の余裕ができたんだ!」と自分でも驚いています。

 

仕事中心から、プライベートも大事にする働き方に移行中で、1日の労働時間をきっちり決めて残業もあまりしないように努力しています。「仕事中心の生活だった増渕さんが、犬を飼うことでこんなにかわるなんて本当にすごいですね!」とスタッフにも驚かれています(笑)。

 

SNSは自分のオススメなものを中心に情報発信を

 

 

私はインスタグラムでの集客はあまり考えていません。ヘアデザインをアップする美容師さんも多いなか、私の場合、ヘアデザインとなるとすごく力が入ってしまい、作り込みすぎてしまいうまくいかず…。インスタは美容師というよりも「36歳の一人の女性」という立場でやっています。美容や日常の暮らし、飼っている愛犬や旅のことなどを発信していますが、美容に関して疑問に思うことがあれば気軽に聞いてもらえたらと思います。そうした部分でお役に立てたらうれしいですね。

 

今後、仕事でもプライベートでもどんなことが待っているかわかりませんが、これまでしてきたようにまた「がんばって越えたらその先に何があるのかを見てみたい!」という感じになるのかもしれません。その都度、自分らしく自然体で取り組んでいけたらいいなと思います。

 

 

♦♦♦応援メッセージ♦♦♦

 

 

一度は周りが見えなくなるほど走り切る時期があってもいいのではないかなと思いますし、失敗しないと、わからないこともたくさんあります。あのときやっておけばよかったと後悔するより、つまずいてもいいから、思い切りやってみることだと思います。

 

目指すところに辿り着くためにはどれぐらいの期間で何をしなければならないのかを明確にすることが大切です。人生は自分次第、どうしたらいいかは自分にしかわからないものです。自分自身としっかり向き合って答えを出していけたらいいですね。

 

プロフィール
ZACC/スタイリスト
増渕聡美(ますぶちさとみ)

栃木県出身。国際理容美容専門学校卒業。ZACC(表参道)に入社して17年目。サロンワークではお客さまらしさを生かしたトレンドスタイルを提案。ファッション誌などのヘアメイク、セミナー講師などでも活躍中。

 

 

(取材・文/揚石圭子 撮影/泉山美代子)

 

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