人まねではない「私なりのやり方」を見つけて ―たくさん失敗したからこそ見えてきたこと―
相談役になってくれた憧れの上司たち
アシスタント時代は、悩みがあっても自分から誰かに相談することができなかったのですが、悩んでいる雰囲気を感じてか、代表の方々が声をかけてくれ、救われました。とくに代表のひとり、北原は近くのバーが行きつけでそこにいることが多かったので、仕事帰りに私も通って、よく相談にのってもらいました。
代表の方々はスタッフの感情にもすごく敏感で「オーラが見えているのでは?」と思えるほど。「私ってダメだなあ…」と思うとこちらは何も言っていないのに、自然な形で励ましてくれるんです。そうした心遣いがあったからこそ、ここまで頑張ってこられたのだと思っています。
自分自身も、後輩の心を支えられる存在になりたいですね。女性美容師として、女の子たちの見本となるようなライフスタイルも築いていけたらいいなと思います。
毎日を新鮮に輝かせるためにしていること
美容師は、ある程度経験を積んだあとは勉強するペースが落ち着いてくる、というイメージがありますが、本当はどんなに経験を積んだとしても毎日が勉強の連続です。お客さまの髪質も千差万別ですし、新しい薬剤の勉強、カットの練習もあります。SORAでは1カ月に一度、職歴に関係なくすべてのスタイリストが同じ課題でカットの練習をします。そうして常に新しい技術や情報を吸収しているから、毎日が新鮮です。
心に余裕を持つことも大切なので、休みの日は自分の時間を持つようにし、リフレッシュしています。自然の中や、プラネタリウムや動物園、落語、映画に行ったり、降りたことのない駅で降りて散歩してみたり…。常に新しいことに触れて自分の価値を高め、お客さまに「会いたい」と思ってもらえる人になりたい。休日の経験でお客さまとの会話の幅も広がりますし、「最近はどこに行ったの?」と楽しみにしてくださる方もいらっしゃいます。
今、仕事を自由にやらせてもらえるようになり、より美容師の仕事にやりがいを感じています。お客さまの層も変化してきて年上の女性が増えており、82歳の祖母は「あんたじゃないとダメなのよ」と言って片道1時間の道を通い続けてくれます。美容師冥利につきますね(笑)。美容師という仕事は、私にとって生活の一部です。この仕事を大切に、一生続けていきたいと思っています。
♦♦♦ 応援メッセージ♦♦♦
仕事をしていればつらいこともありますが、それを乗り越えるには、身近に相談できる相手をつくることが一番です。
そして、いつまでもフレッシュな感性を持ち続けるために、勉強を怠らないこと。仕事ばかりではなくプライベートも楽しんで、自分の中に引き出しをたくさんつくり、人間的にも成長していけるといいですね。
- プロフィール
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SORA
トップヘアデザイナー/水野遥(みずのはるか)
東京都出身。東京ヘアメイク専門学校(現コーセー美容専門学校)卒業。2007年よりSORAに勤務。2017年より学芸大学店、副店長に。再現しやすく、毎日がハッピーになるようなヘアスタイルを提案している。
(取材・文/揚石圭子 撮影/泉山美代子)
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