「ネガをポジに変える」仕事術 GARDEN Tokyo、KOMAKIさん
注意されたことは紙に書き出して客観的に捉えてみる
アシスタントの頃は、私もよく叱られました。「作業が遅い」とか「要領が悪い」と言われることもありましたが、叱られたらその言葉を紙に書き出して分析し、しっかり納得するようにしていました。
たとえば、「作業に時間がかかりすぎる」と言われたら、「時間がかかる」ことのメリットとデメリットを書き出してみるんです。叱られたことについてメリットも書き出す理由は、たとえ今の自分を否定されたとしても、それまでの自分の考えをすべて捨てる必要はないと思うからです。
メリットには、「お客さまとしっかり向き合える」「丁寧に作業ができる」などがあり、デメリットは「お客さまの時間を奪う」「客数が減る」などがあります。すると、クオリティを下げずにスピードアップすれば、さらにいい仕事ができることに気づき、「先輩の言うことはもっともだ」と、しっかり納得して受け入れることができるんです。紙に書き出すことで、自分の行動について客観的になれるのだと思います。
具体的な改善策を、叱ってくれた先輩に伝えること
1日の終わりには、叱ってくれた先輩に、明日からの具体的な改善案をラインで伝えるようにしていました。これは、アシスタントになりたてのとき、注意されたことに対して「次から頑張ります」と言ったら、先輩に「何を頑張るの? 具体的にどうするかを考えないと、本当の意味で改善することはできないよ」と言われたことがきっかけです。それからは自分の中で、「注意されたら改善策を具体的に示し、明日から取り組む宣言をする」というルールを作ったんです。「明日からこうします」と先輩に伝えればやらざるを得ず、自分を追い込むこともできます。
注意されたらその都度、自分の行動を客観的に分析して改善策を見出していけば、叱られたことへの気持ちの落ち込みはほんの一瞬で終わり、いやな気持ちを引きずることもありません。これも、「ネガティブ」を「ポジティブ」に変えて、楽しみながら仕事に取り組む手段のひとつだと思います。
「頑張って!」より「楽しんで!」と声をかけたい
仕事を頑張ることは大切ですが、私は後輩に、「頑張って!」より「楽しんで!」と声をかけるようにしています。楽しみながら仕事をすればハッピーになれるし、そうすると自然と仕事もうまく回っていきます。
美容師という職業は接客業です。人は楽しそうな人のところに集まり、楽しくなさそうな人からは離れていってしまうものだと思います。だから「楽しむ」ことがお客さまを呼び込む力になると思っています。
ライバルがいるのもいいことですが、私はあまり「この人には負けたくない」という気持ちを持ったことがないんです。相手をライバル視すると、「悔しい」という気持ちが生まれ、人を悪く見てしまう部分も出てきます。仕事は勝ち負けではなく、自分自身の問題だと思います。
すばらしい仕事をする人は「すごいな」と素直に認め、いいところは盗めばいい。そのほうが、人と人との間に軋轢を生むことなく、自分自身としっかり向き合いながら、楽しく仕事ができるのではないかなと思います。
♦♦♦ 応援メッセージ♦♦♦
いい仕事をする上では、「素直に、楽しく」が大事です。そうすれば人の意見をきちんと聞き入れ、自分を高めていくことができます。そして「ネガティブ」を「ポジティブ」に変換できる癖をつければ、どんなにつらいことがあっても、すぐに気分転換して前向きになれます。
いつまでも悩んでいては時間がもったいないし、つらい時間が長引くだけなので、問題点に気づいたら素早く改善できるといいですね。自分のいい部分もしっかり認めてあげ、さらにいい部分を増やせれば、よりパワーアップしてより楽しい未来につなげていけるのではないでしょうか。
- プロフィール
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GARDEN Tokyo
KOMAKI(こまき)
山野美容専門学校卒業。2012年、新卒でGARDEN Tokyoに入社。アシスタントを3年半務めた後、スタイリストとして活躍。スタイリスト歴4年。撮影、サロンワーク、セミナーなど幅広く活躍している。
(取材・文/揚石圭子 撮影/泉山美代子)
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