「美容師を辞めなくてよかった」ヘアとメイクで自分の好きを表現するk-two谷口翠彩さんが大切にしていること─天職WOMAN─
師弟関係が物を言うヘアメイクの世界。美容師は自己投資で勝負するしかない!
私の場合、Instagramで発信した作品を見てメイクの依頼があることがほとんどなので、クライアントワークでも自分の作りたいものと求められるものが乖離しているケースはほとんどありません。ありがたいことですよね。そうした場では、クライアントが求めていることに、自分なりのアイディアをプラスして作っていくことが多いです。クライアントワークも自分の作品も、2〜3年後に見たときにも愛せるものを作ることを心がけています。
こだわっているのは、作品撮りのときも、ヘアだけ、メイクだけでなくファッションも含めてモデルさんの全身を作り込んで撮影することです。特に、衣装に関しては作品のためにどれだけお金を使ったかわからないくらい(笑)! でも、私はそれを自己投資だと考えていて、数年後に仕事に結びつくなら絶対にやった方がいいことだと思うんですよね。だから、これからヘアメイクの仕事をしたい美容師さんは絶対に自己投資すべきですよ。
ヘアメイクを仕事にしている方ってすごくたくさんいますし、昔からの師弟関係が仕事に結びつくことがどうしても多い業界なので、正直に言うと、師匠がいる人の方が絶対に有利。そんな人たちと競い合って美容師さんがメイクの仕事を勝ち取るには、自分のクリエイティブに時間とお金を投資することが一番重要だと思います。
今、美容師をしながらヘアメイクの仕事にも興味があるという人も多いですよね。それこそ師匠を見つけて飛び込んでいく方法もありですが、まずは美容師を続けながら副業的にメイクの仕事もできるように、会社に交渉するのが一番いいと思います。
それはやっぱり、私自身が「美容師を辞めなくてよかった」と感じるから。今の仕事の割合で言うと、2/3がサロンワークで1/3がヘアメイクの仕事といったところでしょうか。美容師としては毎月、自分で決めた売上を下回らないように、なるべくサロンワークも減らさないようにしています。そうしていると、休みがどんどん減っていくのが個人事業主の辛いところではあるのですが…(笑)。
フリーランス全盛の時代なので、美容師さんは自由を求めてシェアサロンや面貸しサロンで活動する方も多いですが、女性の場合、フリーランスに産休育休制度はありません。私が働いているサロンもそうですが、美容業界でもどんどん労働環境が改善されていて、福利厚生もしっかりしてきていますよね。リスクを背負ってフリーランスになるよりも、会社と交渉したり、今の環境で辛抱強くがんばる方が、一人でがんばるよりも良い解決策が見つかるかもしれませんよ。
- プロフィール
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k-two GINZA/エグゼクティブ・ディレクター
ヘアメイクアップアーティスト
谷口翠彩(たにぐち みどり)
福岡県出身。大村美容ファッション専門学校卒業後、k-twoエフェクトに入社。2018年同銀座店店長就任。美容師として活躍する一方で、フリーのヘアメイクアップアーティストとして一般誌、ヘアメイク、セミナー等でも活躍。女性らしい柔らかさのあるアンニュイなヘアデザイン、ヘアメイクに定評がある。
Instagram:@xxmido_txx
(文/須川奈津江 撮影/Yui Ogano)