「好き」を追求するほど、仕事も人生も楽しくなる。“自分らしさ”を貫く dakota/hazukiさんが大切にしていること。─天職 WOMAN─
Instagramで自身のファッションやインテリア、愛用コスメや旅先での一コマなどを発信し、おしゃれなライフスタイルに称賛の声が集まるdakota(ダコタ)ディレクターのhazukiさん。来店されるお客さまからは自分と同じヘアスタイルを求められることも多いそうで、まさにアイコン的存在として大人気のトップスタイリストです。
アシスタントの頃から自分の「好き」を発信し、早くから集客に成功してきたhazukiさんですが、デビュー前はさまざまな葛藤があったそう。“自分らしさ”を本気で追求するようになったキッカケから、SNSとの向き合い方、普段大切にしていることなどをインタビューしました。
自分らしさの追求は、オーナーのある一言がきっかけ
美容学生時代、就活はかなり真剣にやっていて、いろんなサロンを見に行きました。第一志望になりそうなサロンも見つけていたのですが、卒業生がdakotaで働いていることを偶然知って、軽い気持ちで施術の予約をしたんです。いざお店に入ってスタイリストの雰囲気や場の空気感に触れた途端、ビビッときてしまって…。ここがいい!という直感に従って採用試験を受けて、無事に入社が決まりました。
私はもともと、目を引くクリエイティブなスタイルより、一般のお客さまに落とし込める日常に寄り添ったスタイルを作りたいと思っていたんです。dakotaのスタイリストがつくるスタイルはその理想に近かったので、そこも惹かれたポイントでした。
私はもともと器用で、何でもそつなくこなせるタイプだったんですよ。だから入社してからは、順調に前進している感覚がありました。でも1年目のある日、オーナー(小谷氏)にアシスタントとして1日だけ付いた時のことは今でもよく覚えています。自分としては「忙しかったけど、問題なくやり切ったな」と感じていた営業後に、オーナーから「hazukiは仕事もできるし問題もない。でも、ただ業務をこなすだけなら今日のアシスタントはhazukiじゃなくてもよかった。あなたらしさってなんなの?」と言われたんです。その言葉はかなり衝撃的で、グサグサ心に刺さりましたね。
たしかに、と納得したものの、いざ「自分にしかできないことって何?」と考え始めたら止まらなくて、その日は泣きながら帰ったのを覚えています…(笑)。そこから自分を知るために、好きなことや好きなものを敏感に捉えて、追求するようになりました。そのあとも“自分らしさ”については何度も問われましたし、今もそう。dakotaでは、全員が自分の色をとても大切にしているんです。
体調を崩したことを機に、覚悟が決まった
SNSに関しては、入社直後から力をいれていました。ただ、アシスタントの頃はまだ技術も未熟で、納得いくクオリティのスタイルを発信するのは難しいですよね。代わりに何を発信しようかと考えて、自分の好きなアイテムやライフスタイルを見てもらおうと思いました。それで始めたのが、ファッションの投稿。私は古着が好きなので、その日の服に合わせたヘアスタイルとメイクをして、バランス感がわかりやすいように毎日同じ場所で全身写真を撮りました。その投稿が予想以上に伸びて、フォロワーが増えていって。そこからお客さまやヘアモデルさんが来てくれるようになりました。
2年目からはチェックに受かったメニューから入客を始めたのですが、Instagramが軌道にのったことで、フォロワー数に比例してお客さまも増えるという流れに。ありがたいことでしたが、その反面、まだ自分の技術が追いついていなかったので、口コミで「期待していたのですが…」なんて書かれることもありました。それを見るたびに、もっと頑張らなきゃ、もっとやらなきゃという気持ちになり、自分を追い込んでしまったんでしょうね。デビューの半年ほど前に突発性難聴を発症し、体重も1カ月で5キロ落ちて、体調を崩してしまいました。
これって体を壊してまでやることかな?と考え込んだ時期もありましたし、心配した母に「仕事やめたら?」と言われたときにも、一瞬迷ったんです。でも、他にやりたいこともないしこれしかできないのに、今さらやめてどうするんだろう?と思い返したんですよね。確かにその時期は焦りでつらかったけど、私は仕事もdakotaも好きで。辞めるという選択肢はないなと、そこで覚悟が決まりました。
先輩には休職もすすめられましたが、デビュー前でしたし、自分の意思でサロンに立ち続けました。振り返ると、当時付いていたスタイリストにすごく支えてもらったなと思います。レッスンもそうですし、ご飯に連れて行ってもらったり、相談にもよく乗ってもらったりと、本当にお世話になりました。そうした先輩の支えのおかげで、デビューする頃にはいつの間にか体調が治っていたんです。
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