やりがいはサロンワークだけじゃない。December 徳永恵里さんが人事とサロンワークの両立で目指す、第二のキャリアステージ 《天職WOMAN》

20代後半で退社し、北田が立ち上げた『December』に参加

 

 

北田が『December』の出店することになったのは、私が退社したあとでした。声をかけてもらいましたが、福岡に戻るか、北田についていくか、すごく悩みましたね。結果的に、次世代の子たちが活躍できる場を作りたいと言う気持ちが強かったことと、北田となら全部を楽しさに変えられると思ったので参加を決めて、今に至ります。

20代は確かに大変なことも沢山ありましたが、その経験を経てわかったのは、最初に憧れた叔母をはじめ、キラキラと働いている人は見えない苦労や努力が裏側にあるんだなということ。輝いている人の本質を知れたような気がしていますね。

 

今はサロンワークをしながら人事も担当していますが、オープン当初はまだスタッフが少なかったので、面接にはスタッフ全員で参加していたんです。人数が増えたタイミングで、北田から「徳ちゃんは人をよく見ているし、信用してるから任せるよ」と言われ、採用を担うことになりました。

 

 

人事を担当するようになってから変わったのは、スタッフの練習姿などをSNSに投稿するようになったことですね。でも最初は、リクルートのためではなかったんです。頑張っているスタッフをたくさんの人に見て欲しかったことと、お客さまも、自分の髪を施術するアシスタントがどんな努力をしているのかを知ったら喜んでくれるかな、と思って載せていました。それを思いがけず学生が見てくれて、面接に来てくれるようになったんですよ。私としてはうちの子自慢のような気持ちで作っていたんですけど(笑)、人間関係の良さが伝わったのかなと思います。

 

確かにDecemberは仲が良いですが、それだけではありません。本当の意味で腹を割って一緒に働きたいと思うからこそ、いいと思うことは全力で褒めますし、ときには厳しく叱ることもあります。面接に来てくれた子たちにはそれをしっかり伝えた上で「それでも入りたいですか?」と確認しています。

 

頑張った先にある、新しいキャリアステップを見せていきたい

 

 

人事とサロンワークの両立は、最初はかなり大変でしたね。売上を下げず、スタッフとのコミュニケーションの時間を取り、なおかつ採用業務もするわけで…「わーっ!」と一人で頭を抱えることもありました(笑)。でも1年前から、北田の提案で予約を切って人事業務の時間を作るようにしたんです。サロンワークの時間を削るのは不安もありましたが、それぞれの仕事に専念できたことで、逆にサロンワークの売上も上がったんですよ。これは嬉しい誤算でした。

人事に専念するという選択もありますが、現場で働いている子のリアルな気持ちが見えるので、両立することに意味があると思っています。人事とは言え、常にスタッフと近い存在でいたいという想いもありますね。

 

 

5年後、10年後は人事や商品開発によりシフトしていくかもしれませんが、「頑張った先にはこんなステージがあるよ」という働き方の可能性は、後輩たちに見せていきたいと思っています。そのうちの一つでもあるのですが、4月からは週に2日ほど18時で帰宅するという時短ワークを始めるんですよ。これからはライフワークバランスも意識して、様々な選択肢があることを体現していければと思っています。

 

さまざまな理由で美容師をやめてしまう方もいますけど、重ねてきた努力や時間を帳消しにするような選択は、すごくもったいないと思うんですよ。

違う仕事をしながら美容師を続けることもできますし、うちも、そんな働き方を柔軟に受け入れられるサロンにしていきたい。ライフプランに合わせて、一人ひとりが自分らしく働ける環境を作りたいですね。

 

プロフィール
徳永 恵里(とくながえり)/『December』ディレクター

長崎県出身。麻生美容専門学校福岡校を卒業後、山口県内の人気店に就職。1年後、都内有名店で働く夢を叶えるために上京。派遣美容師として働きながら就活し、有名店の転職に成功する。8年在籍し、2018年『December』のオープニングメンバーとして参加。現在はサロンワークをしながら、人事や商品開発にも携わる。

Instagram:@toku_eri

 

(文/織田みゆき 撮影/松林真幸)

 

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