“わざわざ店”で明るく楽しく“心”を作っています
私がド派手な洋服を着ているわけ
美容師になってから、昼食をのんびり食べたことはありません。食べてもおにぎり1個がいいところ。しかも立ってです。でも、忙しく過ごしているなかで、お客さまから「ありがとう」と声がかかり、手を振って「またね」の声をいただける。こんな素敵な仕事はないと思っています。
美容師の仕事は、お客さま、家族、周囲の方々のために、「喜びと目の輝き」を作りだすことです。髪を切ることは、「心を洗い流す」こと。髪を結うことは、「心をむすぶ」こと。突き詰めれば、私たちの仕事は、「心を作りなおす」ことだと思います。
お客さまからいただいた温もりのある言葉から、気づかされることもたくさんあります。以前お客さまに「あなた、なによその洋服。私はここに元気をもらいにきているのよ。それなのにそんな地味な服をきて」と言われ、私はド派手な服を着るようになったんです。お客さまから洋服についてまで文句を言われたことありますか? 必要な美容師だと認めていただいていることを、とても幸せに感じましたね。
政治家の小池百合子先生には、こんなことを言われました。「あなたの店は“わざわざ店”だからいいわね。お店には“わざわざ店”と“たまたま店”がある。あなたのお店には、100軒のお店を通り越して、お客さまがわざわざ来ている。すごくいいじゃない」。これもありがたい言葉だと思いました。
おぼれてもジタバタせず一旦沈んで底を思いっきり蹴る
何かにつまずいたとき、私が思い出すのは父の言葉です。「おぼれたときは、慌てず、騒がず、渦に身を任せて底までいけ。足が底についたら、思いっきり蹴れ。そうすれば自然と浮き上がるから」。そう、一度沈みきったらあとは浮き上がるだけなのです。
ストレスや嫌な言葉、壁にぶち当たったらそこから「芯」であるベースに戻ります。さらにしっかりした自分になるように、目の前に「もう一人の自分」をつくります。目の前の自分とじっくり話し合います。怒鳴ることもあります。気持ちを全部吐き出すことができたら、ふっと楽な自分に戻ることができるのです。
朝のひとことでは“うれしい、楽しい、ありがたい。あらゆる人・物に感謝しましょう。ありがとうございます”と言っています。そうすると、気持ちが明るく、楽しくなり、キレイなヘアを作ることができるようになるのです。私の隣には王将あり、横には金将、銀将あり。桂馬も歩もいます。2015年もまた新しい若者が仲間に加わりました。
いつも素敵な笑顔を見せてくれる仲間たちに感謝しています。忙しくて感謝の気持ちを忘れがちな人は、朝起きたとき、30秒だけでもいいから、布団のなかで感謝すると、いい1日が始まりますよ。
デパートにいってもショーウインドーを明るい心で見ると全然違うものです。ちなみに今、私はセブンイレブンオリジナルの150円のコーヒーにこっています。こういうちょっとした楽しみも、元気の源になります。
今回お話したことが、少しでもみなさんの役に立ったらうれしいです。もし、どこかでお逢いしたらぜひ声をかけてください。ヨロシク!