スケートボードを愛する美容師が原宿からWAVEを起こす -Wavy’s 中川優也さん U29次世代美容師-
次世代美容師として注目される「U29美容師」のサクセスストーリーから、成長のヒントを「美容師のタマゴ」へお届けする企画「U29次世代美容師」。第19回目は有名スタイリスト馬場一馬氏が率いるWavy’sで活躍している中川優也(なかがわゆうや)さんです。都内の超人気店でスタイリストデビュー目前に退職し、1年のフリーター生活を経てWavy’sでリスタートした中川さんの心の内を聞きました。
スケートボードをきっかけにストリートカルチャーに触れる
あれは中学1年生くらいの頃だったと思います。当時、地元の駅前が開発中でフラットな路面が多く、そこで僕は年上の人たちに交じってスケートボードをしていました。そこからストリートカルチャーやファッションにも関心を持つように。でも、イケてる髪型にするために近所の美容室や床屋に行っても思うようにならないので、自分で髪を切るようになりました。
僕が自分で髪を切っていると知った友達から「俺の髪も切ってよ」と頼まれ、自宅の庭で切ったこともあります。それがすごく楽しくて、この頃から僕はイケてる髪型をつくる美容師になると決めていました。
中学生のころから美容師になると心に決めていたものの、真面目に勉強するタイプだったので高校は進学校へ。卒業後は上京し、日本美容専門学校に入学しました。専門学校に入って驚いたのは、授業中に寝ていたり、先生の話を聞いていなかったりする人がいること。見たこともない光景にちょっと驚きました。
校内コンテストは、あえてメンズヘアで出場
僕はストイックに練習するタイプではないけれど、専門学校の授業をしっかり聞いていたので成績は悪くありませんでした。ただ、当時は勉強よりも遊びが大切だと思って、友達を家に集めてゲームしたり、飲み歩いたりしていた思い出が多いですね。
メンズのカッコいいヘアスタイルを作れるようになりたいと思って専門学校に入ったので、校内のヘアコンテストがほぼみんな女性のヘアスタイルというところに違和感がありました。正直、コンテストで発表されるような奇抜なヘアスタイルの良さがわからなかったんですよ。だから、とくにテーマや縛りがないコンテストでは、メンズのヘアスタイルを発表しました。
ちなみに、Wavy’sの代表の馬場さんとは学生時代から付き合いがあります。一度くらいはオシャレなサロンで切ってみたいと思ってSHIMAの馬場さんにお願いしたら、すごくいい感じにしてくれたんです。馬場さんの人柄にも惹かれて「一緒に働きたい」と思ったんですよね。その想いが通じたのか、卒業後はSHIMAで働くことになりました。
メンズってどうやったら切れるんですか?
今も忘れられない入社1年目の出来事があります。とあるミーティングで「1年生から何か質問ありますか?」と言われたとき、「メンズってどうやったら切れるようになるんですか?」って聞いたんです。そうしたら、「こいつ何言ってんの…?」みたいな空気になってしまいまして。お客さまの大半は女性なので、まず女性の髪を切れるようになるべきなのは当たり前なのですが、メンズをやりたい僕にとってはショックなことでした。
イメージとのギャップを感じつつも、スタイリストデビューするための最高の環境であることは理解していました。もちろんデビュー基準は厳しく、中途半端なカットやカラーの技術ではやっていけません。でも技術習得以上に大変だったのが、モデルハントでした。撮影のときはもちろん、日々のレッスンでもビジュアルがよくてオシャレなモデルさんを連れてこなくてはいけません。なぜなら、そういう素敵な人たちに憧れられるような美容師を目指すべきだから。先輩から「なんであのモデルさんを選んだの?」と詰められることもありました。
誰もが認めるような超絶かわいい女の子っていうのはどこかの事務所に所属していたり、すでにサロンモデルとして活動していたりするものです。なかなか見つからないので、営業終わりから終電までの時間、休日のほとんどをモデルハントに費やしました。休みにみんなで海に行ったりすると、その日の夜は「うわ、今日俺モデハンしてないわ…」と罪悪感でいっぱいでしたね。
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