1年目は毎日涙…苦しみの先には必ず喜びが待っている ―DIFINO 富田里穂さん U29次世代美容師―

1年目は毎日涙…でも恵まれた環境にいることに気づく

 

 

入社後は自分の弱さを実感させられる日々でした。本当に至らない点が多く、毎日叱られて泣いていたので、周りからも「あの頃と比べると強くなったな」と言われるんですよ。覚えたことを深堀りしたり、応用したりするのが苦手で、「追求心」がないという指摘を受けたりしていました。

 

またどんなにレッスンを頑張っても、営業中にできることは水回りの仕事だけというのもつらかったです。私が所属する店舗には同期がいなかったですし、アシスタントとして入ってきた子も定着しなかったので仕方がなかったのかもしれません。でも、できることがどんどん増えているのに、3年間もずっと同じような仕事を繰り返していたので、モチベーションの維持が大変でした。

 

そこで踏ん張ることができたのは、店長の中山のおかげです。わりと早い段階で、中山の外部講習や撮影の手伝いをさせてもらっていました。そのなかでウチのサロンでは当たり前の技術が、他のサロンで働く美容師さんたちに、とても感謝されていることがわかったんです。自分が恵まれた環境で働いていることに気づき、気持ちを入れ直すことができました。「私の悩みなんて小さいな」と。今の環境に感謝して、やれることを精一杯やろうと思いました。

 

私を応援してくれた全ての人に恩返しをしたい

 

 

スタイリストデビューまであと一息という段階で苦労したことは、タイムマネジメントです。入社から3年間ずっと一番下の立場でやってきたんですが、4年目のスタイリストに向けて一番忙しい時期に、1年目の子が入ってきたんです。後輩を育てるのは先輩の役目ですから、毎日朝晩、シャンプーやマッサージのレッスンをしなくてはいけません。その一方で、自分の成長のためのレッスンもしなければならない。でも、時間は限られています。効率よく練習するために時間を無駄にしないのはもちろん、先輩にも後輩のレッスンをお願いして、なんとか乗り切ってきました。

 

そして美容師6年目にしてようやくスタイリストデビューを果たしました。これまで自分を支えてくれた幼馴染、専門学校の友達、お世話になったモデルさんなどに、デビューしたことを報告できてうれしかったです。「本当に美容師になったんだね」とみんなが祝福してくれました。これから仕事を通じて、みんなに恩返ししていきたいです。

 

きっと私と同じように、美容師を目指す過程で挫けそうになっている人もいると思います。でも、サーフィンはパドルを漕いで沖に向かう途中は苦しいけれど、波に乗れたときは最高に気持ちいいです。5kmのジョギングは最初の3kmくらいは辛いけれど、4kmを過ぎたあたりから気分爽快で走ることができます。それと同じで、苦しさの先に楽しさや喜びがあると信じて頑張ってください。

 

 

プロフィール
DIFINO
Stylist/富田里穂(とみたりほ)

千葉県出身。日本美容専門学校卒業後、DIFINOに入社。約6年のアシスタント生活を経て2016年5月にスタイリストデビュー。物心がついたころから美容師志望で、多くの知人友人に夢を語っていたため、デビュー時は多くの人に祝福された。現在はDIFINO赤坂店が期待する若手の女性美容師として活躍している。

 

(取材・文/外山  武史  撮影/菊池 麻美)

 

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