輝く美容師の裏側にフォーカス あの人の「裏ガオ」 #7 siika NIKAIサトーマリさん
独立した今が、自分の本当の価値を試されているとき
原宿で忙しい時期を過ごしていると、同業の美容師さんだけでなく、少しは一般の方にも知ってもらえたかな、という感覚はありましたが、妊娠を期に原宿を去って新しい場所にサロンを構えた途端にもう別世界。予想はしていましたが、原宿のサロンの名前がないと自分は何者でもないということを改めて実感しました。独立してからどれくらい人気を集められるかが本当の勝負という気がしています。
そのためには、今まであまり興味のなかった賞にも目が向くようになりましたね。それで箔がつくというのならやってやろう! という気持ちです。
原宿での美容師時代も、独立してからも手応えを感じるというのはまったくありません。なぜかというと、手応えを感じたり安心したりしてしまうと、その場に留まることばかりを考えて行動できなくなるんじゃないかという恐怖があるからです。時代は常に流れているので、そのときどきで大切にしなければいけないことは変わっていくはず。それを見極めながら、常に行動に移していきたいと思っています。
<若手美容師さんに応援メッセージ>
私もそうでしたが、若いときって、「自分はこうすればできる」と思いがち。でも、人生はそこまで甘くないし、自分が想像していたとおりに全ていくことは、まずありません。だからこそ、とりあえず目の前のことをとことんやるしかないと思います。やって損する、ということはありませんから。
アシスタント時代は、誰しも辞めたくなる波というのが定期的にくるものです。でも、なぜ辞めたいのか聞いてみると、「モデハンが嫌」とか「刺激がほしい」とか、取るに足らない嫌なことから逃げたいだけで、少し時間が経つと平気になったりすることもある。すごくやる気になるときもあれば嫌になるときもあるというのは当たり前で、それでいちいちお店を辞めていたら、結局苦労を先送りするということでしかありません。
夢や希望をもつことは大切ですが、だからこそ今はそのために辛いポイントを稼いでいる、今ポイントを稼いだ分だけ、30代、40代になったらラクになれる、楽しくなるんだと思うと、辛いことも乗り越えられるし、続けられるんじゃないかと思います。
- プロフィール
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siika NIKAI(シーカ ニカイ)
サトーマリ
茨城県出身。専門学校卒業後、都内某有名店に入社。2014年JHA newcomer of the year(新人賞)ノミネート。2015年に退職後、2016年に夫の加藤龍矢さん(代表)とともに「siika」(東京・学芸大学前)を立ち上げる。サロンワークを中心に、ファッション誌、一般誌、業界誌などの撮影でも活躍。
(取材・文/須川奈津江 撮影/菊池 麻美)