音楽との純粋な向き合い方ってどんなんだっけ? LECO内田聡一郎の仕事論 −カセットテープ専門店“Waltz”の店主と語る、音楽の力とは−
音楽との出合い方を知ってもらいたい。
内田:このPOPもご自身で書かれているんですか?
角田:そうなんです。音楽の原点を知ってもらいたくて。
カセットテープの時代は試聴機がなかったんですよね。だからPOPを信じて買うしかなかった。
内田:CDの時代でもそうだったかも。POPをよく読んで買うっていう体験ありましたね。
角田:音楽との出合いを信じてきてくれるコアユーザーも多いですし、女性ひとりの来店もすごく多いんですよ。お客さまの半分は女性ですね。
それに10代から70代まで幅広いお客さまにきていただけるんです。今はデータでクリアな音で音楽が聴けますが、テープならではの温もりを感じてくれる人や懐かしがってくれる人も多いんですよ。10代や20代の若い世代に関しては、この手動で音楽を聴くというアナログ感に惹かれて、テープとウォークマンを買って行ってくれますね。
内田:ここにくると出合いたいという欲求が強くなるかもしれませんね。
角田:フィジカルも含めて音楽を買いに行くという体験って難易度がとても高いんですが、その分純度の高いお客さまが多いです。
―空間に置ける音楽ってどんな立ち位置だと思われますか?
角田:僕はいつも言っているのは、音楽は血液。流れて循環しているものだと思っています。
空間の空気を吸ってはじめて空間と一体になる。箱の血流をよくするのも音楽の力ですね。
内田:僕はさっきも言った通り、音楽はコミュニケーションツール。人と共有することで、高揚もできるし、かけている音楽がきっかけでお客さまと情報交換もできる。
角田:空間の支配力も音楽で変わりますよね。
内田:はい、話のテンションが変わったりもしますね。
Waltzさんはもともと知ってはいたのですが、想像以上のお話が聞けて感動しています…。休みの日にきて、ゆっくり見たいし聴きたい…。
と、内田さん、角田さんが書かれたPOPをじっくり読みながらお店をウロウロしはじめたので、対談終了。
Waltzを出た内田さんに感想を聞くと、
内田:角田さんの純粋な音楽への姿勢に、自分が昔もっと音楽に向き合っていたことを思い出しました。あの空間の作り方、音楽への向き合い方。こんなに衝撃を受けたのは久しぶりかも。
と、話足りない少年の目をしていた内田さん。これからもしかすると、内田さんの音楽への向き合い方が変わりそう(?)な雰囲気を醸し出しながら帰って行きました。