音楽との純粋な向き合い方ってどんなんだっけ? LECO内田聡一郎の仕事論 −カセットテープ専門店“Waltz”の店主と語る、音楽の力とは−
サブスクって便利な反面、音楽との関係が変わってきたかも?
角田:ちょっと余談になるんですが、Waltzにはアーティストの方にも来店していただいているのですが、みなさん最近の方はアルバムを聴き込んでくれないと嘆いていますね。
アーティストの方は曲順や、曲と曲の合間の秒数にもすごくこだわって作っているんですが、サブスク世代はアルバムを通しで聴かない人も多くなっている。
サブスクは音楽を手軽に提供できている反面、音楽に対するありがたみが少しずつ薄くなってしまうのかな、と。
内田:確かに。今は手軽に聞けるけど、好きな1枚を熱心に聴くことってほとんどなくなってしまいましたね。それこそカセットテープ時代は友達と共有して、コミュニティとしての共通語に音楽があったし、ライフスタイルの一部だったかも。
角田:カセットテープのときは音楽と向き合う時間があったんですよね。
とはいえ、敷居を高くしてはいい音楽と出合えなくなってしまうので、出合える環境を作るためにWaltzを作りました。
内田:ちなみに住宅地の真ん中にお店があるのはなぜですか?
角田:もともと地元ということもあるんですが、環境に影響されたくない、というのが大きな理由ですね。駅前とかですと、開発によって人の流れや街並みがガラッと変わってしまいます。住宅街なら相当なことがない限り、大きい変化がないと思うんです。
それにわざわざきてもらって、他ではできない体験をしてもらいたい。お店の中は音楽や昔の雑誌などたくさんの情報があふれているので、外には何も情報がないほうが、お店にある情報の何かを持ち帰ってもらいやすくなると思っています。
内田:昔の雑誌とかレコードとか、気になるものありすぎますよね。カセットテープだけじゃなくて、曲の背景も一緒に売っている感じがします。
角田:少し音楽を大きめにしてかけているんですよ。かかっている音楽を買って行かれる方も多くて。