音楽との純粋な向き合い方ってどんなんだっけ? LECO内田聡一郎の仕事論 −カセットテープ専門店“Waltz”の店主と語る、音楽の力とは−
LECOの内田さんが会いたい人に、聞きたい話を聞く連載、内田総一郎の仕事論。
第2回目は、お店の存在は知っていたけど、今まで足を運んだことがなかったという、中目黒にあるカセットテープ専門店「Waltz」。
今回はWaltzオーナーの角田太郎(つのだたろう)さんと、熱い音楽談義や空間に置ける音楽の位置付け…と狙った取材にしたいと思ったものの、角田さんのピュアな音楽への愛情に、内田さんが音楽好きの内田少年に戻った今回の対談。
瞳キラッキラで音楽の話をする珍しい(?)内田さんの姿と共に、ノスタルジックな気分にもなった今回の対談は音楽好き必見です。
音楽が元気だった時代の、二人の音楽との触れ合いとは
―いろんなメディアでもうすでに語られていると思いますが、あらためて音楽を好きになった原体験を教えてもらえますか?
内田:僕は完全にJ-POPドストライク世代。
カラオケもブームだったし、小学生のとき、テレビのゴールデンタイムは必ず歌番組が流れてましたよね。オリコンチャートにランクインしていた曲は全部聞いていました。
中学生になると、男子あるあるだと思うんですけど、おしゃれな先輩に「邦楽なんて聴いてんじゃねーよ」っておどされて(笑)、洋楽のインディーズバンド、パンクロック、メロコアで海外のバンドの曲を聴くようになっていきました。
―最初に買ったCDって覚えています?
内田:えーっとなんだっけ…? 篠原涼子じゃなくて、エボリューションじゃなくて…
全員:……。
―…渡辺美里のマイレボリューション?
内田:そうそれ!!(笑)。普通にJ-POPのメインストリームが好きでした。
角田:その当時の小室哲哉楽曲は、今再評価されていますよね。
キョンキョン(小泉今日子)のGOOD MORNING-CALLや、宮沢りえのデビューシングルDREAM RUSHも小室哲哉さんなんですよ。
内田:そうなんですね、知らなかった。
―角田さんは以前も受けてくださったQJナビDAILYの取材では、小学生のときに出合ったRCサクセションと仰っていましたが。
角田:はじめて買った…ということであれば、幼少のころに親に買ってもらったガンダムのサントラテープですね。
―アニメ本とカセットテープが一緒にパッケージングされていたやつですよね?
角田:そうです、そうです。そこで音楽を聴く習慣ができ、RCサクセションにハマって、その流れでラジオを聴くようになりました。
今の若い人にはにわかに信じられないと思いますが、当時は音楽の情報を得るためにはラジオやFM誌などが重要な情報源でした。
いまと比べて情報量が少なく、AMラジオから流れてくる音楽チャートをノートに書き写して、どんな音楽が流行っているのかをまとめていました。
当時の80年代はチャートがとても元気な時代で、今、僕がいろんなジャンルの音楽に抵抗なく触れられるのも当時のチャートのおかげかもしれません。
―と、言いますと?
角田:HIP HOP、ヘビメタ、ハウス…いろんなジャンルがチャートを賑わしていました。
だからジャンルの偏りがなく、どんな音楽でもスッと聞けるんです。このお店に置いてある音楽は僕が全て聞いて、よかったものをセレクトしています。あの時代があるから、こういった形態のお店をできたのかもしれません。
90年代に入ると、WAVEというレコード店で勤務していたので、売る方に回っていました。内田さんがよくJ-POPに触れていた時代ですね。当時は音楽バブルでしたから、例えばドリカムがアルバムを発売する日は、陳列する量もすごかったですし、レジも並んで並んで大変でしたね。
内田:分かります。新譜の発売日って必ずCDショップに並びましたよね。今の若い子にその感覚伝わらないだろうなー。