落ちこぼれ中学生が”圧倒的”に人と向き合う“ハッピーソウルマン”になるまでの話 -GOALD/ハイスタイリスト 今井崎 知希さん U29次世代美容師-
旗に自分の名前を書いて「全国にこの名を轟かせます!」と宣言
高校を卒業後に中日美容専門学校に入りました。文化祭ではみんなの前で歌ったり、イベントではとにかく目立っていましたね。
あるとき、わりと真面目な友達が東京で髪を切って、めちゃくちゃカッコよくなっていたことがあったんです。普段はそんなこと言うタイプじゃないのに「最高かよ!」ってテンションぶち上げで。話を聞くとOCEAN TOKYOの高木琢也さんに髪を切ってもらったと言っていて。で、高木さんがどんな人なのかなと調べたら、ストリートな雰囲気でカッコよかったし、僕がイメージしている美容師といい意味で印象が違ったんですよね。
それまでの僕の美容師のイメージってなんかスラッとしていて、自分は合ってないかもって思っていたんですよ。スタッフを見ると自分と似たようなイカつい人もいたので、ここしかないと。サロンに対するお客さんのコメントも「ここで髪を切って人生変わりました」とか、マジでポジティブなものばかりがずらっと並んでいたんです。ここは本物だなと思いました。
OCEAN TOKYO面接の前日、僕は履歴書を10枚くらい書いていました。シャーペンで書いた後にボールペンで上からなぞるんですけど、基本アホなので何回もミスっちゃうんですよ。そんな状態で迎えた面接当日では、変化球の質問が飛んできました。「動物だったら何?」とか。僕は「マグロです。前向きに生きて、常に進み続けないと死んじゃうんで」って答えました。あとは、「僕は先生に与えられたものがたくさんあるので、自分の生き方を通じて恩返しをしたい。自分は幸せをいただいたので、今度は幸せにする側になりたい」と心の底から思っていたので、それを伝えたことを覚えています。
高木さんと中村さんとの面接では、僕は旗にでっかく自分の名前を書きました。その場で言ったのは一言だけ。
「直感で受けにきました!この名前を全国に轟かせます!」
それで入社が決まったのですが、その当時、東海エリアの学校から新卒で入った人がいなかったんですよ。内定の知らせを聞いて学校のみんなもドッカーン! と盛り上がっていました。
アシスタント時代から1日3、4人のセット指名をもらっていた
実はサロンに入ってすぐに辞めようと思ったことがあるんですよ。そのころは、まだ視野が狭かったので自分と同じ“本気”を持っている人がいないように思っていたんですよね。今はそんなことは思わないのですが、当時は考え方が硬かったんです。
ただし、中村トメ吉さんのお客さんの表情や言葉を見て、この人は本物だと思っていました。「絶対に、この人の下で学びたい」と思い、毎日のように中村さんの部屋をノックして、お願いしていたんですよ。「僕は本気で目の前のお客さんと向き合うので、僕のことをいいと思ってくれたら引き抜いてください」と。その1週間後に中村さんのチームに入れてもらうことになったんです。
お客さんと本気で向き合い、自分ができる最大限のことを毎日しているうちに、アシスタントなのにセット指名をもらえるようになりました。しかも、1日に3人、4人くらい。お小遣いを貯めて、わざわざ岡山から僕に会いにきてくれるお客さんも現れたんです。僕って、見た目のインパクトが強すぎて、グンッ! て視界に入ってくるらしいんですよ。印象に残りやすいみたいで。
それに、僕はお茶を出すときも、お客さんの目を見て、お客さんの求めているものを察して、気遣いをしていました。といっても、汗をかいているお客さんを見て「ちょっと暑くないですか」と言って冷たいおしぼりを持ってくるとか些細なことです。それでも、お客さんを喜ばせたいという気持ちが真剣だと、それが表情から伝わるんだと思います。