もがいて、這いつくばって、#浅倉ショートを発信する美容師になった -ACQUA 浅倉一馬さん U29次世代美容師-

美容の楽しさを教えてくれた2人の恩人

 

 

人間形成の部分で影響を受けたのはあやさんで、美容において影響を受けたのは、元ACQUAで今はunpluggedで活躍しているきみさん(武藤希実彦さん)と、のりさん(紺野善仙さん)。きみさんにはサロンワークの楽しさを教えてもらいました。「自由にやっていいよ」とアシスタントの僕に任せてくれるので、「自分のお客さま」という具合に、より主体性を持って仕事に打ち込めるようになりました。その時に感じた空気感は、今の僕のサロンワークのベースになっています。

 

のりさんからは作品づくりを学びました。美容師として何か発信したいなと思っていたとき、たまたまのりさんの作品撮りの様子を見たんですが、すごい技術だなと思いまして。髪の毛が生きているような感じがしましたし、まだのりさんがブレイクする前でしたが「この人は絶対に売れるだろうな」と直感しました。それから「教えてください」と頼み込んで、のりさんのもとで作品づくりをスタート。アドバイスをもらいながらデビューまで続けたことが今につながっています。

 

 

作品づくりをはじめたころから、ショートカット美容師になると決めていました。デビュー前からInstagramのフォロワーも増えていたし、デビューしたらInstagram経由でお客さまがくると思っていたんです。デビュー初月の目標は200万円でした。でも、結果は80万円。めちゃくちゃ悔しかったですね。

 

お客さまに求められる自分を目指したら、流れが変わった

 

 

デビュー後の数カ月は精神的にもキツかったです。でも、5カ月目くらいから変わりました。お客さまが求めているのは、今自分がいいと思っているものとは違うと気づき、仕事の基準を全てお客さま視点に切り替えたのです。人が変わるのって大変じゃないですか。だから、お客さまから求められる自分になるために、休みの日も含めて、朝から夜中までずっと一人で作品撮りをし続けました。

 

自分の作品を否定されたら、誰だって悔しいじゃないですか。ダメ出しされるのも、本当はあんまりいい気分じゃありません。しかし、それでは次のステップにはいけないと思い、きみさんやのりさんにアドバイスをもらい、それを素直に受け入れました。ひたすらそれを繰り返したら、流れが変わったんです。右肩上がりで売上が伸びました。お客さまとの関係性もよくなるし、予約が増えたらそれだけ求められている気がしてうれしいんですよ。でも、自分はまだまだ未完成だし、職人の世界には終わりがないと思っています。

 

 

大切なのは何十年も美容を続けられる自分づくりをすること。たまに美容学生さんが僕に会いにきてくれるんですが、彼らの情報源はSNSですよね。SNSで美容学生に名前を知られている人って、美容業界のスターなんです。SNSを見て「自分もその域に到達したい」と感じるのも当然だと思います。けれど、いきなりそこにいくのは無理です。どんなスーパースターだって、下積みで這いつくばっている時期があるはず。

 

ありがたいことに僕も「浅倉さんみたいになりたい」と言ってくれる美容学生と会うこともあります。そんな僕にだって見せていない部分がたくさんあるわけですよ。だから、これから美容師のスタートラインに立つ人たちには、ぜひコツコツと頑張ってほしいです。

 

<プロフィール>

 

ACQUA omotesando

浅倉 一馬 (あさくら かずま)

 

千葉県生まれ。高山美容専門学校卒業後、ACQUAに入社。代表の綾小路氏、現unpluggedの武藤氏のメインアシスタントを経て、スタイリストデビュー。ショートカット美容師として多くの女性の支持を集める。好きな言葉は「いつもありがとう」。

 

(取材/外山 武史・撮影/菊池 麻美)

 

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