もがいて、這いつくばって、#浅倉ショートを発信する美容師になった -ACQUA 浅倉一馬さん U29次世代美容師-
綾小路氏の言葉が刺さりACQUAへ
美容学生時代は、平凡な美容学生でした。でも、最初に選ぶサロンが、美容師としての人生を左右するスタートラインになるという意識があり、有名店以外のサロンにいくつもりはなかったですね。表参道、青山、原宿、いろいろなサロンを見ましたが、入りたいと思ったのはACQUAだけでした。
正直にいうと、そこまでACQUAに惹かれていたわけではありません。会社説明会のときに社長のあやさん(綾小路竹千代さん)が10分ほど学生に向けて話してくれたんです。会社や事業の話ではなく、人としてどうあるべきかヒントをくれるような内容で、しかも、自分が働いているイメージが湧いたんですよね。きっと、あやさんが話した10分間がなかったらACQUAを選んでいなかったと思います。一言ひとことが、当時の僕の心にささりました。
採用試験では戦略をもって臨みました。たとえば、その当時はウィッグのチェックがあったのですが、みんな1つだけ持っていくところを、僕は3つ用意したんです。「なんで3つなの?」と聞かれたとき「入りたい気持ちも3倍なので」と言ったら食いついてくれて、どんどん話をふってもらえました。「あ、受かったかも」と予感しましたね。
人と同じことをしても埋もれちゃうじゃないですか。これといった武器がないからこそ、自分なりに考えて、カタチにすることが大事だと思いました。
褒められた記憶がないほど、ボロボロだったアシスタント1年目
美容師1年目は、もう本当にボロボロなアシスタントでしたね。朝起きて、サロンで練習して、帰ってっていうことだけで精一杯。遅刻して叱られたこともありますし、褒められることなんてほぼなかったですね。
今や有名美容師の一人となった大起(服部大起さん)と同期なんですが、身近で彼がストイックにやっていたので、僕も負けたくなかった。大起はACQUA史上最速でデビューしました。僕も負けじと体力が尽きるまで練習していました。大起と二人で、Instagramが流行る前に、先手を取るためにどうしたらいいか話し合ったこともありましたね。
2年目にあやさんの専属アシスタントになりました。技術と人間性の未熟さゆえに、お客さまにご迷惑をおかけしたこともあります。あやさんは、美容にこだわりも強いし、仕事に対してとにかく厳しい人です。その厳しい部分を知っているお客さまですから、僕の仕事ぶりがちゃらんぽらんに見えたのだと思います。「あの子にカラーを塗ってほしくないです」と聞こえる声で言われたことも。お客さまからのご指摘で、「このままではいけない。変わらなくては」と何度も反省しました。
ただ、今強く思うのは、あやさんと、お客さまのおかげで、今の僕があります。まだまだ未熟ですが、「お客さまからお金をいただくこと、お客さまを幸せにすることは、とても生半可ではできない、厳しいことなんだ」と教わりました。