「自分の名前で勝負したい」スケボーが導いた数奇な美容師人生 -ainico.+(フリーランス) 佐藤拓人さん U29次世代美容師-
スケボーがきっかけでWAVY’SにJOIN
仕事が終わると渋谷にいって、そこでスケボー仲間と一緒に遊んでいました。渋谷でモデハンをしているときに、元WAVY’Sの中川優也さんから「君、スケボーしている美容師の子だよね」と話しかけられ、それから一緒に遊んだり、ご飯を食べに行ったりする仲に。そして、ほぼオープニングのタイミングで「WAVY’Sに来ない?」と誘われたんです。そのときは「今の店でやれることがまだたくさんあるので」と断りました。その後、WAVY’Sは瞬く間に有名に。でも、僕が最初に勤めたサロンはおしゃれだし、自分にとって誇れるサロンだったので後悔はありませんでした。
中川さんとはそれ以降も変わらず遊んだり、ご飯に行ったりしていました。また1年後「もうそろそろウチのサロンにこない?」と誘われ、(そこまで言ってくれるのなら…)と思い「お願いします」と返答。こうしてWAVY’Sに入ることに決まったんです。ちなみに、WAVY’Sに入ったとたん、Instagramのフォロワー数が一気に2000人くらい増えて、そのネームバリューと影響力に驚きましたね。
男性の自分の視点で「かわいい」をつくる
僕とちょうど同じ時期に、河原洋美(現在はSHIMAに在籍)さんが入りました。河原さんは女性芸能人からも支持される人気のスタイリスト。僕はそのメインアシスタントとして、河原さんから仕事を学びました。Instagramを使った情報発信のポイントを教えてもらい、それからモデハンと作品撮りにも注力するようになったんですよ。もともと僕は男性より女性のヘアスタイルをつくるほうが好きだったこともあり、男性の自分がどうしたらお客さまを集められるのか考えました。
河原さんは小さなころから女の子同士で遊んでいたと思うし、女の子たちが思う「かわいい」をよく知っています。これは僕にはない感覚です。じゃあ、男が生き残るためにはどうしたらいいか考えて、「男性が女性をかわいい」と感じる瞬間を切り取ろうと思ったんです。
具体的には、風でバッと髪が動いたときに美しく見えるボブとか、電車の中で本を読んでいるとき垂れてくる髪を耳にかける感じなど。そういう男性がかわいいと感じた瞬間を作品に落とし込んでいくことにしたんです。「この顔、この髪型、かわいいでしょ?」というかわいさではなく、ふとした瞬間の自然なかわいさを表現しています。それからInstagramのフォロワーさんもさらに増えましたし、比例して新規のご来店も増えました。