デビュー初月に売上100万! 熱き想いは才能を超える ―Garland MAOさん U29次世代美容師―
退社3日後にはGarlandの一員に
前のサロンを退社したのが5年前の7月31日。その翌日に、客としてGarland代表の榊原の予約を入れていました。施術中に、自分が美容師をしていたこと、プレスとして活動していたことなどを話すと、榊原は「じゃあ明日履歴書持ってきて」と言いました。そして、その次の日に面接を受けて、さらにその翌日の8月3日にはGarlandの一員になっていました(笑)。
出勤初日は忙しいし、モノの場所も、何をどこまでやっていいかもわからずに、半泣き状態。最初のころは何度も挫けそうになったし、弱音を吐いたこともあります。「もうダメです。辞めます」って。そのたびに榊原から「誰でも気持ちに波があるのはわかっているよ。落ちることもあるけど、また上がるでしょ?」って笑顔で言われたんですよね。そのたびに「あ、そっか」と思って元気になれた。だから辞めずにすみました。
ヘタレだった私が変わったきっかけは、Kiitos by Garland(吉祥寺店)の立ち上げに参加したこと。スタイリスト3人にアシスタント1人の体制だったので、「お客さま全員の顔を覚えておもてなしする」「スタイリストのミスを私がカバーするくらいの気持ちでやろう」とかなり意気込んでいました。Kiitosを大きくしたいと本気で思っていて、よく店長の和久井ともご飯を食べながら語り合っていましたね。1年ほどして異動になり、また表参道店に戻ってきたころには社内での評価も変わっていました。「吉祥寺ではずいぶんと頑張ってきたみたいだね」って。
「初月100万円いきます!」と飲みの場で宣言
表参道店に戻って1年ほどで、スタイリストの最終試験に受かりました。合格後、3カ月連続で月30万円売上げれば正式デビューなのですが、私は飲みの場で榊原に「私、100万円いきます!」って言っていたんです。でも、「本気で言っているの?そんなこと誰もできなかったよ」って、まともにとりあってくれなかったんですよ。
いざデビューしてみると、モデルさんや友人をはじめ、SNSのフォロワーさんもたくさんきてくれて、初月から売上100万円を達成できました。その翌月も大きく数字を崩さず、今に至るまで、少しずつ右肩上がりで数字を伸ばしてきました。
「なんでそんなことができたの?」ってよく聞かれます。私には飛びぬけた才能はありません。SNSのフォロワーが爆発的に多いわけでもなく、ファッショニスタでもなく、クリエイティブコンテストで優勝した経験もありません。だけど、目の前のお客さまを大事にするということだけは、誰にも負けないつもりでやってきました。
たとえば、お客さまの声に耳を傾けるだけでなく、表情や仕草から、本当の気持ちを読み取ります。「美容師さんはかわいい系を推してくれるけど、実はクールなスタイルのほうが好き」という具合に、本音を言えないお客さまもいるんですよ。「お客さまが本当になりたい自分ってどんなのだろう?」と想像力を働かせて、そこに向けて、似合わせていく。そしてヒントは、お客さまが持っているスマホのケースとか、そういう小さいところに隠れているものです。私はお客さまの「なりたい自分」を引き出すために、神経を張り巡らせているんですよ。
Garlandというチームで大きく成功したい
ここ数年で、自分の考え方はずいぶんと変わりました。美容師になったばかりのころは、誰もが「自分の好きなスタイル」を作りたいと願うものだと思います。昔の私もそうでした。だけど、「お客さまが本当に求めているスタイル」を作るのが先ということをGarlandで学びました。自分が好きなものはサロンワークとは別の時間に取り組めばいいんです。
たとえば私は1990年生まれのモデルやフォトグラファーとユニットを組んで「90’」というフォトブックをつくり、中目黒のカフェでギャラリーを開きました。みんなに求められるものを提供していきながら、好きなこともどんどん深めていきたいと思います。
ありがたいことに、デビュー2年目を迎えた今も、お客さまに恵まれていますし、雑誌やヘアカタログの誌面に取り上げていただくことも増えてきました。もちろん売上をあげていくことや、メディア露出を増やしていくことも大事ですが、「自分のため」ではなく「お客さまのため」「サロンのため」という心をいつも持ち続けたいです。
次の目標は、Garlandのチーム力を高めること。具体的には、後輩の教育に注力したいです。Garlandの強みは、個性的なスタッフがそろっていること。お客さまを喜ばせる技術や心構えはもちろん、個性豊かなスタイリストのいいところを後輩たちにうまく伝えていけたらなと考えています。
- プロフィール
-
Garland
デザイナー/MAO(まお)
東京都出身。日本美容専門学校卒業。都内有名店を経てGarlandに入社。おしゃれなルックスと、人懐っこいキャラクターでファンを増やしている。読者モデルからも大人気。コミュニケーションを大切にしており、新規客から「楽しかった!」と口コミが入ることも。サロンワークをはじめヘアカタログや業界誌でも活躍。一般誌ファッションSNAP常連。
(取材・文/外山 武史 撮影/菊池 麻美)
- 1 2