apishの一番星! サロン史上最短デビュー男の思考回路 ―apish AOYAMA 黒山 慶司さん U29次世代美容師―
頑張ってもかなわない先輩がいるから楽しい
美容専門学校は、努力と結果が比例する世界。でもapishに入って感じたのは、美容師は人との関わりが仕事の大きな部分を占めるということでした。
たとえば、いくら自分でシャンプーが上手いと思っても、相手が気持ちいいと感じていなければ、それはいいシャンプーではありません。しかも、どんな手の動かし方が気持ちいいかは、人によって違います。なので、最初は人の気持ちを感じ取るのに苦労しました。
そのために何をしたかといえば・・・練習しかありません。僕の取柄はできるまでやり続けるところ。毎朝誰よりも早くサロンにいき、同期や先輩に協力してもらって練習を繰り返しました。
どんな技術も徹底的に手を動かして、とにかくカラダに染み込むまでやるのが基本。営業が終わった後、ご飯を食べて、そのまま夜中の3時ごろまで練習していた時期もあります。
でも、苦しみながらやっていたのではなく、やればやるほど上達するから楽しかったんですよね。そして楽しいと思うから、どんどん自分の中に学びが入ってきたんです。
僕は負けず嫌いなので、何がなんでも1番になりたいと思っています。だけどapishには、どれだけ頑張っても上には上がいる。「どうやったら先輩たちを追い抜かせるかな」と考えて高いハードルに挑戦するのが楽しい。憧れの存在がたくさんいるからこそ「僕はもっともっと成長できる」と感じて、ワクワクするんです。
apish史上最短の入社3年半でスタイリストデビュー
アシスタント時代に目標にしていたのはapishジェノのディレクターの嶋根。お客さまへのケアがきめ細やかだし、どんなに忙しくてもサロンワークや撮影などすべての仕事が丁寧。その仕事ぶりを間近で見ることで、「やろうと思えば、あそこまでクオリティをあげられるんだ」と考えられるようになり、自分の仕事の質も上がったと思います。
先輩たちの背中を見ながらとにかくがむしゃらになって走り続けて、カリキュラムを史上最短でクリア。ただし、スタイリストデビューする前は「まだ早いんじゃないか」という社内の声もありました。僕は結果として3年半でデビューしましたが、通常は5年程度かかるからです。またアシスタントの中ではリーダー格だったこともあり、「デビューする前に、アシスタントの中心になる存在を育てる」というミッションを与えられました。
後輩を育てるために、まず何でも話しやすい関係をつくりました。仕事の話は真剣にするし、叱るときは叱る。でも、力を抜く部分もつくる。一緒にご飯を食べにいったり、飲みにいったりとかですね。年齢が近いこともあって、みんな本当に何でも話してくれました。
そのほか、営業後に撮影会をするなど、自分から率先してみんながスキルアップできる場をつくりました。次第に「黒山さんと一緒に何か面白いことをしたいです」と声をかけてくれる後輩が増えましたね。自分が一番働いて、新しいことにも挑戦して、その背中を見せること。これを続けることでアシスタントリーダーも育ち、晴れてスタイリストデビューできたんです。
スタイリストデビュー後も「目標だらけ」
僕の最初のお客さまはオカン。パンチが利いている人なので、「よく頑張ったね」などと褒めてくれることもなく、「まだまだこれから。もっと頑張りなさい」とハッパをかけられました(笑)。いい思い出ですね。
でも、デビューしたばかりのころは、なかなか手応えを感じられませんでした。お客さまとのコミュニケーションに自信がなかったんです。慣れるまでは、話すスピードや言葉選び、話を聞く姿勢など、いろいろなことを試行錯誤していました。少し手があいたときは、先輩がカウンセリングしているところに近づいていって、どんな話をしているのか聞き耳をたてていましたね。そうやって少しずつ少しずつ自信をつけてきた感じです。
アシスタントのころはスタイリストデビューが目標でしたが、今は新しい目標だらけ。大勢のお客さまに支持されるスタイリストになりたいし、JHAなどで結果を残せるクリエイティブ力をつけたい。撮影の仕事を通じて、自分の仕事を世の中に発信したいし、先輩たちのようにセミナー講師の仕事もしてみたい。
やりたいことがたくさんあって、どれもまだまだ半人前だからこそ楽しいと僕は考えています。毎日、一つでも新しいチャレンジして、そこで発見をして、成長の糧にしていきたい。今のこの気持ちを忘れず、どこまでも成長していきたいですね。
- プロフィール
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apish AOYAMA
スタイリスト/黒山 慶司(くろやま けいじ)
大阪府出身。関西美容専門学校卒業後、apish に入社。apish jenoの店長、嶋根寛明氏のメインアシスタントを務める。一般誌、美容業界誌の撮影や、全国セミナーに同行し、技術とセンスを磨く。3年6カ月でapish史上最短でスタイリストデビューした注目の若手スタイリスト。ナチュラルスタイルからエッジのきいたハイセンスなスタイルまで幅広いスタイルを提案している。
(取材・文/外山 武史 撮影/菊池 麻美)
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