apishの一番星! サロン史上最短デビュー男の思考回路 ―apish AOYAMA 黒山 慶司さん U29次世代美容師―
次世代美容師として注目される「U29美容師」のサクセスストーリーから、成長するためのヒントを「美容師のタマゴ」へお届けする企画「U29次世代美容師」。第11回目は、有名美容室apishでサロン史上最短のスタイリストデビューを果たした黒山慶司(くろやまけいじ)さん。厳しいデビュー基準を持つ同サロンでデビューを平均より約2年早く迎えられたのはなぜか。黒山さんのこれまでの軌跡にヒントが隠れていました。
身近な大人で一番カッコいいと思えたのが美容師だった
僕が美容師になったきっかけは肘のケガです。子供の頃からずっと野球漬けの毎日で、高校も大学の付属高校の野球部に入りました。入部したばかりのころはウエイトトレーニングと走り込みばかり。ようやくボールに触れるようになった矢先に、肘のじん帯を痛めて退部。ずっと坊主頭だった反動で髪の毛を伸ばすようになりました。
その当時僕が通っていた美容室のオーナーさんは37歳くらいの男性。僕の父親とそんなに変わらないのに、すごくオシャレに見えたんですよね。ブーツインのスタイルが似合っていてカッコいいなぁと。そのころ、僕が知っている男でブーツインしているのなんて、テレビで見るジャニーズの人か『ドラゴンボール』のサイヤ人くらいでしたから(笑)。「スーツを着て働く大人にはなりたくないな」と漠然と思っていたこともあり、オーナーさんに憧れて「美容師になりたい」と思うようになりました。
ただし、大学の付属高校に通っていたこともあり、「専門学校に行く」と言っても、親にも先生にも納得してもらえず…毎日のように「苦労するぞ」と脅されていました。でも、僕も結構頑固なんです。自分なりの理屈で親をなんとか説得しようと必死でした。
みんな一度言い出したら聞かない僕の性格を知っていたし、祖母と母が美容師免許を持っていたこともあって、最後は「手に職の仕事だから」と応援してくれたんです。
土曜日は100%登校して練習、日曜日も先輩宅で特訓
高校卒業後、関西美容専門学校に入学。そこでは毎月、順位が公開される技術テストがありました。一度、いつも一緒に練習していた子が9位で、僕が100位台だったことがありまして。めちゃくちゃ悔しかったので、それからがむしゃらに練習しはじめました。
関西美容専門学校はモチベーションが高い学生が多くて、ワインディングやカットのコンテストは毎回、白熱していました。僕も土曜日は100%練習していたし、日曜日も先輩の家にお邪魔してずっと練習していましたね。その結果、学校の代表7名のうちの一人に選ばれて、ロンドンのヴィダルサスーンアカデミーに公費留学するというありがたい経験にも恵まれました。学生時代の目標の一つでしたし、何がなんでも行きたかったから念願がかなってうれしかったです。
そして、1年生の12月ごろからapishの選考を受け、翌年の4月に内定しました。当時は美容業界について右も左もわからなかったのですが、専門学校のセミナーにきた先輩がすごく魅力的だったので直感で決めました。
apishの面接では「絶対に1番最初にスタイリストになります!」と宣言していました。ひとつのことに対する集中力とか、要領よく物事を進める力とか、負けん気とか、こだわりとか・・・そういうところには自信があったんです。学校でとことん自分を追い込んでいましたから。
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