LIM史上最短でスタイリストデビューできた理由

入店して3カ月くらいは本当につらかった。朝が早いし、掃除は厳しいし、叱られてばかりで…。自分が伸びていると感じられなかったんですよね。美容が心の底から楽しいと思えるようになったのは、モデルさんの髪をやらせてもらって、「この髪型いいね」と言われるなど、うれしい反応が返ってくるようになってからです。

LIMでは中途採用でもアシスタントからやり直します。とはいえ、新卒とは経験値に差があるので技術の進みも早いです。でも、私は中途採用のスタッフに追いつきたくて、自分に足りないと思ったことは納得できるまで徹底的にレッスンしていました。休みの時間も使って。

結果として、LIM史上最短のスタイリストデビューができたのですが、私はそんなに器用でもないし、それなりに時間を使ってやることをやってきただけなんですよね。

東京に出てきたのは、スタイリストデビューとほぼ同じタイミング。ディレクターのカンタロウから「東に行く気はあるか？」と言われて、「行きます」と二つ返事で答えました。美容界でトップと言われている人は東京にたくさんいますし、新しい環境に飛び込むことで、もっと成長したいと思っていたからです。

上京したばかりのころは、モデルハントも集客もまたイチから。最初は苦労しましたけれど、BLOGやSNSを使って少しずつ情報発信をすることで、業界誌などの仕事も増えていきました。

つねに自分を更新し、飽きられない美容師になる

サロンワークと並行して、情報発信や撮影を地道に続けていくうちに、大きな仕事に取り組むチャンスが増えてきました。新しいお仕事をいただいたとき、私がいつも意識しているのは、「次につながる仕事にする」ということ。作品をつくるときには、必ず「デザインを更新すること」を意識しました。飽きられないためです。いつも新しいものを出すために、新しい情報に触れたり、刺激を受けたりして「自分を更新しよう」って考えています。

また、一人の発想には限界があります。なので、ヘアデザインを考えるときは、周りのスタッフと話をしたり、「業界誌からこんなテーマをいただいたんですが…」などと相談したりして、サロンを巻き込んでいるんです。一人で考えるよりも、いろんな人と影響しあったほうがアイディアに広がりが生まれます。

最近、ヘアショーなどで、美容界の大御所の方々と一緒にステージに立つこともあり、インタビューの仕事などで「どうやってセンスを磨いたんですか？」とか「何か特別なことをしていますか？」などと聞かれることが増えてきました。私は何一つ、突飛なことはしていません。自分がいいと思ったことに時間をつかって、コツコツと取り組んでいるだけなんです。

かっこいい人も泥臭い部分が必ずあると思う

みんなに尊敬される有名な美容師さんたちだって、きっと泥臭い経験をいっぱい積んで、今輝くステージの上に立つことができているのだと思います。ちなみに、つい先日も後輩たちとも同じよう話をしたばかり。「休みの日の撮影って大変ですね」って言われたんですが、私はそんな風に感じないんです。好きなことに時間を使うことができて、充実しているなって思います。

アシスタント時代とか、スタイリストデビューしたばかりのころは、正直、休むことを考える暇なんてないはず。休みがほしいっていう気持ちは出てきたりはするけれど、一流の美容師を目指すのなら、自分の足りない部分、伸ばしたい部分に時間を費やすことが必要だと思うんですよね。そのために投資した時間は必ず自分に返ってくるし、努力はウソをつかないと私は信じています。

一度きりの美容師人生、私はつねに挑戦していきたい。目標を掲げて、それを実現して、自分を更新していきたい。そして、私が得てきたものを後輩にも受け継いでいけたら、と考えています。

プロフィール

nu+LIM　
TOP STYLIST／京里（キョウリ）

京都府宇治市出身。関西美容専門学校卒業後、LIMに入社。大阪loji店にてJrスタイリストの経験を積み、さらなる挑戦のために東京CODE＋LIMへ。スタイリスト、店長を経験し、Dot+LIMを経て現在nu+LIMにてトップスタイリスト＆副店長を務める。LIM全店で3年連続売上No.1。『GLOBAL CREATOR'S WORK 2016』では、のRougy上原健一氏、PEEK-A-BOO福井達真氏と同じステージでクリエイティブワークを披露。

（取材・文／外山  武史　　撮影／菊池 麻美）

　　関連情報

LIM×セイファート海外セミナー〔2016年9月27日（火）開催〕

LIM統括ディレクターカンタロウ氏が海外の美容事情とこれからの日本人美容師について語ります。

https://www.qjnavi.jp/foreignseminar/

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