ドイツ育ちのラッキーガール、エロ髪美容師になる ーU29次世代美容師 NORA Journey 阿形聡美さんー
次世代美容師として注目される「U29美容師」のサクセスストーリーから、成長するためのヒントを「美容師のタマゴ」へお届けする企画「U29次世代美容師」。第四回目は「NORA Journey」の副店長で新規指名NO.1、撮影やヘアメイクだけでなく、セミナー講師としても活躍している阿形聡美さん。最近では、「エロ髪」という新ジャンルを開拓している彼女のヒストリーを探ってみました。
Bitte, Guten tag, Danke schön
3歳から8歳までドイツのデュッセルドルフで暮らしていました。日本人が多い街でドイツ語を使わなくても生きていけたので、会話はほとんど日本語。ドイツ語はBitte(ビッテ/お願します・どうぞ), Guten tag(グーテンターク/こんにちは), Danke schön(ダンケシェーン/ありがとう)の3つくらいしか使っていませんでした(笑)。でもその3つを駆使して普通に買い物とかしていたんですよ。
帰国後は千葉で1年だけ暮らして、10歳からは兵庫に。今思うと、ドイツでの生活や千葉から兵庫への引っ越しなどを通じて、知らない人たちのなかに飛び込んでいけるコミュ力を獲得できたのかもしれないです。転校生って自分から話しかけないと友達ができないですから。
小学生の高学年のころは、『ご近所物語』(集英社/矢沢あい)に夢中で、「私も専門学校に行くんだ」と漠然と考えていました。そのころはファッション系に行きたいと思っていたんですよ。
その気持ちが変わったのは中学2年生のころ。髪の毛をショートにしたらキノコみたいな頭になってしまいまして。好きな子にカワイイって思われたいから、どうやったらキノコ頭をかわいく見せられるのか、自分でヘアアレンジしていました。
それであるとき友達に言われたんです。「さっちゃん、美容師向いているんちゃう?」って。
私もその気になって、中学卒業したら高校に行かず、すぐにでも美容師の資格を取ろうって本気で考えていました。今もそうなんですけど、昔から生きいそぐタイプのキャラだったんです(笑)。
有名サロンを受けてことごとく落ちる
結局、周りに説得されて高校には進学しました。バスケ部で青春を過ごしたあと、美容専門学校へ。そこで初めて挫折を感じたんです。ヨーイドン! で技術のテストをしたとき、すっごい上手な子がいるのに、私は下手くそだったりして。それがすごくショックで。というのも私、高校時代まで結構なんでも器用にこなしていて、勉強もバスケもデキる優等生キャラだったんです(笑)。
負けず嫌いだから、誰よりも早く学校に行っていましたね。私と同じように毎朝早くきている男の子がいて、「俺の方が早い」「いや、あたしのほうが早い」って争ったりしていて。
とにかく上手くなりたかったから、専門学校時代はいろんなコンテストに参加していました。たくさん手を出しすぎて時間がなかったことも。でもそれだけ頑張っていたのに、そのころの作品を見返すと、「センスねぇな…」って思うんですよね(笑)。ちなみに、センスに関しては今も自信がないです…。
就職活動ではとにかく雑誌に出たいと思って、有名店を受けまくりました。でも、結局10社くらいは落ちちゃいまして。多分、我が強いタイプに見えたんだと思います。落ちすぎたことがショックで「東京でできひんのやったら美容師やらへん!!」って泣きわめいて母親を困らせたりもしました。「そんなこと言わないで!頑張って!」って一生懸命なだめてくれた母のお陰で、なんとか都内のサロンに内定をいただけたんですよ。
でも、最初に勤めたサロンでは生意気だったと思います。叱られても素直にすみませんって言えなかったんです。それで、帰り道で毎日泣いていました。悔しくて唇を噛みすぎて血が出てしまったことも…怖い人みたいですよね(笑)。生意気だった私を見捨てずに教えてくれた先輩には感謝しています。