レッドオーシャンを抜け出し、ブルーオーシャンへ! ドレッド、ブレイズ、コーンロウ…特殊系ヘアの大波に乗る人気アーティストミナトさん
以前はブラックカルチャーに傾倒する一部の人のものだったドレッド、ブレイズ、コーンロウなどの特殊ヘア。現在はZ世代を中心に、トレンドヘアとして取り入れる人も増えてきました。そんな特殊ヘアで人気のアーティストが「ミナト」さんです。流行が生まれる渋谷の地でたしかな技術とセンスを武器に、ラッパー、ゲーマー、格闘家などからも支持を得ています。もともと普通の美容師として出発したミナトさんが、どんな経緯で特殊ヘアの世界に辿り着いたのか。これまでの歩みとこれからの野望を聞きました。
美容業界の「一般枠」で勝負する気になれなかった
専門学校卒業後、最初に勤めたサロンは特殊ヘアを扱うところではありませんでした。入社半年でスタイリストデビューさせてもらえる珍しいサロンだったので、3年間勤めたうちの2年半はスタイリストとして過ごしています。
当時は、一般的なカット、カラー、パーマを提供していたのですが、「一般のカテゴリーの中で勝負しようと思うと、ライバルが多すぎておしくらまんじゅうだな」と思ったんです。「自分にしかできない価値のある仕事」をしたいという気持ちが人一倍強いタイプなのもあって、みんなが歩いていく方向には行きたくなかったんですよ。
ちょうどそのころ、ヒップホップやダンスの海外カルチャーがブームだったこともあり、それにハマった知り合いに「ドレッドにしてよ」などとお願いされることが増えました。自分も音楽のみならずそのファッションや世界観も好きなので、やってあげたい気持ちはすごくありました。ただ、技術がないので断っていて、後ろめたさを感じるとともに、「特殊ヘアをやってみたい」という気持ちが膨らんだんですよね。
そんな思いで特殊ヘアを学べるサロンを検索して、一番に出てきたのが前職のサロン「Love’Lock」でした。すでに自分のお客さまを抱えている状態だったので、お客さまをやりながら、空き時間に先輩のヘルプに入り特殊ヘアを学びました。ドレッドやコーンロウ、ブレイズを1年くらいかけて学んだんです。
敷居が高い特殊ヘアをもっと身近なものにしたい!
最初に覚えたのはドレッドです。まず直毛の日本人には最初にアフロパーマをかける必要があるので、単純に人手が必要ですし、時間もかかる技術だからです。アフロにした髪に、逆毛を立てながら三つ編みし、かぎ針編みで絡めていくんですね。細かい作業を延々とやるので時間がかかります。最低でも6時間は必要。先輩の仕事を手伝いながら吸収していきました。
そのサロンでは3年ほど働いていたのですが、もともと僕はカジュアルサロンを経験していたこともあり、特殊ヘアでいろいろ試してみたくなったんですね。「普通のサロンに特殊ヘアをもちこんで、そのサロンの表現の幅を広げる活動をしたい」という気持ちも膨らみました。専門店で働いていて感じたのは、特殊ヘアに挑戦するハードルが高いこと。「ちょっと興味があります」という感じの人は多分、入りづらいんじゃないかと思ったんですよね。
特殊ヘアをやるお客さまは30代から60代くらいの大人の方で、本物志向の方が多かったのですが、学生や若手の会社員、アーティストやアスリートの方も、トライできる環境をつくりたいと思いました。ちょうど、同世代の仲間がメンズサロンのBINGO HAIR WORKS(ビンゴヘアワークス)を出すということで、自分も今の環境に飛び込み、特殊ヘアを身近にするための活動をスタートしたんです。