カットの匠・kazu初登場!理容師から転身、地域密着型サロンでJHAに挑む。高円寺『SYUK』が掲げる”生涯パートナーサロン”計画
長く働ける環境づくりと生涯担当できる技術育成
——社内教育は、どのようなことをされているんでしょうか。
技術教育では月1回「カットの日」を作って、1年目のスタッフから一番上のスタッフまで、全員でスキバサミの勉強会をしています。僕にはスキバサミの独自の理論があるんです。この技術を身につけると髪が扱いやすくなるので、お客さまが必ずリピートしてくださるんですよ。一般的なカット練習は、ワンレングス、ボブ、みたいな流れでひとつずつ習っていきますよね。僕は髪の減らし方をまず教わって、形ができる仕組みを理解するところからスタートしました。これを理解できているベースがあれば、デザインする時の強みになります。「カットの日」では、みんなすごく前向きに取り組んでいます。年齢やキャリア関係なくフラットに全員で勉強できる、よい機会になっていますね。
うちは「お客さまと長く付き合える施術をする」というルールを設けています。髪の毛の断毛リスクが高まったり、扱いづらくなってしまう施術は長期スパンでお客さまと一緒に考えます。お客さまが信頼し、長く通っていただけるように、という視点でのサロンワークを重視しているんです。
地域一番の繁盛店をめざしていますが、最新の”デザイン”もベンチマークしています。そうすることで、ここで活躍できる美容師の幅も広がると思うんですよ。デザインを極めたい美容師も働けて、育児をしながらキャリアを重ねたい女性美容師も働ける。いろんな美容師がいることでお互いにカバーし合うこともできますし、サロンとしての伸び代も高まっていくと思うんですよね。
どんなにパワフルに働いていても、気持ちの移ろいがあったり、大事なものは変わったりするので、ずっと全速力で働けるわけではないですよね。そのときに、美容師という仕事と天秤にかけるのは酷じゃないですか。練習に長い時間を費やしてきた美容師が、最終的にそんな形でキャリアを終わらせるのも、営業形態としてよくないと思っていて。なので、そこをクリアして長く働ける環境を作りたいです。将来的にはスタッフの人数を倍にして、お店を朝8時から夜10時まで営業し、2ユニットでやっていくのが理想ですね。そうすれば全員が土日休暇を取れて、平日もしっかり自分のお客さまがいる状態も作れるので。その体制を作っていくのが最優先だと考えていて、今はそこに向かって全力を注いでいるところです。
- プロフィール
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kazu(カズ)
『SYUK』代表
岩手県出身。仙台理容美容専門学校卒業後、都内屈指の老舗理容店に入社。その後、美容師に転身。都内の地域密着型サロンに14年間在籍していた頃、ヘアコンテストに積極的に参加してJHA大賞部門で準グランプリを受賞。2018年からカット講師として外部の教育活動にも注力。「KAMICHARISMA」4年連続受賞(2020〜2024)。2023年12月、高円寺にサロン『SYUK』をオープン。
Instagram:@kazu_syuk_
(文/織田みゆき 撮影/宮崎洋)