「これほどのカリスマは今後絶対に現れない」伝説の美容師・須賀勇介をRITZオーナー金井豊が語り尽くす

日本の美容業界に多大な影響力を与えた、真のカリスマ美容師

 

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N.Yから帰国してから僕は独立しましたが、須賀さんから学んだことで今も活かされているのはスタイル作りと技術。須賀さんが作っていたような、グラマラスなヘアがやっぱり好きですね。N.Yっていろんな人種が集まるわけで、サロンでは全ての髪質を操れないといけない。それをドライヤーとブラシでスタイリングしていくわけです。

 

例えば、細くてコシがない髪だとブラシじゃボリュームが出せない。そうすると、今はホットカーラーを使いますよね。でも須賀さんは、根本は全然ブローしないでバーッと乾かして、クルクルっと中間までブラシを入れて戻しながらドライヤーの風を当ててく。そうすると髪が逆毛立っていく。ドライヤーやブラシの使い方が「え!こんな風に使うんだ」って驚くほど全く違うんです。でも仕上がりは、自然なツヤとボリュームのある、丸みを帯びた美しいシルエットになる。

 

そのテクニックを賞賛して、“世界一ブラシ使いのうまいヤツ”ってアヴェドンもよく言ってました。ヒュッとやるだけでキレイなウェーブが出ちゃう。何回も須賀さんの仕事を見て真似してみるけど、須賀さんみたいなあのウェーブは今でも出せない。それがいまだにコンプレックス(笑)。

 

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須賀さんが日本の美容業界に与えた影響力は相当大きいと思います。日本のヘアメイクシーンを切り開いていった渡辺サブロオさんとかも須賀さんの活躍を絶対見ていたと思うし、須賀さんと共に四天王と呼ばれた宮崎定夫さん、田中親さん、伊藤五郎さんらもライバルに刺激を受けた部分は大きかったんじゃないでしょうか。だから僕は本当にラッキー。須賀さんを知ったことによって「スガサロン」で働けて、いろんな作品も見られて、そういうところから感性も刺激されて。

 

僕たちもカリスマ美容師ブームがあって、その当時はカリスマって呼ばれてたけど、本当のカリスマって須賀さんみたいな人のことを言う。もうね、須賀さんほどになっていないのに、そんな風に呼ばれたくないって思ってたもん(笑)。

 

須賀さんは40代という若さで亡くなってしまったけど、美容師として最高なときに人生の幕を閉じたんじゃないかな。美しく最高のカリスマとしてみんなに記憶されて亡くなられた。美容師の人生として最強だと思う。もうこんなカリスマ美容師は、今後絶対に現れないでしょうね。

 

プロフィール
RITZ
オーナー/金井 豊(かない ゆたか)

都内サロンでの経験を経て、1992年にRITZサロンをオープン。サロンワークとともにヘアメイクのアーティストとしてファッション誌、CM、広告等で活躍。 1996年、活動拠点をニューヨークに移し、フリーのヘアメイクとしてファッション誌の撮影活動を行う。代官山の直営店舗と鹿児島、北見、水戸のFCで店舗展開。現在、ショー、セミナー、講演、美容雑誌、一般誌、ファッション誌、広告撮影などの活動の他に、RITZ design FACTORYを立ち上げフォトグラファーとしても活躍中。

 

(取材・文/坂井 あやの<verb>  撮影/河合 信幸)

 

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