“外国人風ヘア”の先駆者『suburbia』代表・石川ヒデノリ初登場。東京・青山で4席からスタート、ビル1棟のサロンへと成長させた17年の道のり

 

“外国人風”を打ち出して新規殺到、時代が流れて状況は一変

 

 

僕は32歳のときに独立しました。青山という第一線の場所で戦うのが辛くなっていた時期で、郊外に出ようと物件探しをしていたんです。いい物件も見つかったんですが、最後の最後に「失敗してもいいから青山で一回挑戦してみよう」という思いがこみ上げてきて、4席の小さなスペースで『suburbia』を立ち上げました。スタッフは、元同僚と僕の2人だけです。

 

 

既存の顧客もいましたが、それだけに頼ることに不安もありました。今ではもう当たり前のように利用されている集客サイトですが、17年前の当時は、有名店には敬遠されていたんですよね。そこで僕はいち早く集客サイトを活用することにしたんです。掲載する写真は、ブローやアイロンを使わなくても”乾かすだけで決まる”欧米人の髪質や色を意識したナチュラルなスタイル。それを”外国人風”というキーワードで表現したら、瞬く間に人気ランキング1位を取るようになっていきました。

 

カラー需要が多かったので、アシスタントにカラーだけを1年で教えてデビューさせることを思いついて始めてみたら、その1年後に月売上100万を叩き出したんです。まだインスタがない時代ですよ。リピート率も良かったので、この”1年デビュー”を進めてお店を出すことにしました。

 

 

3年後には、14席のスペースに拡張移転。”乾かすだけで決まる”をテーマにブログも書いたら、その相乗効果で新規が毎月400〜600人が殺到するようになって、「これならやっていける」と思いましたね。毎晩3〜4時まで集客サイトにかじりついて、スタイル写真の色味調整などに取り組んでいました。近所に姉妹店も出し、しばらくは順調に営業していましたが、時代の流れで集客サイトが浸透して”外国人風“のキーワードも世の中に溢れていって。写真の撮り方や色味なども真似され、1年でカラーリストデビューするやり方も業界に広がり、新規も他のサロンに流れていく状況になっていきました。

 

試行錯誤して始めたことが、どんどん真似されていく。その流れをどうにか止めたくて、同業他社への牽制の意味を込めて商標登録を40個ほど取ったんです。その行為が思いもかけない結果に繋がってしまったんですよ。お世話になった前職のサロンや独立した先輩のお店など、人間関係にヒビが入ってしまって。そこから状況が一変。ドン底まで落ちていきました。

 

>後編へ続く

 

suburbia

代表

石川ヒデノリ

 

栃木県出身。地元の美容専門学校を卒業後、都内有名店に入社。ディレクター、トップスタイリストとして撮影やヘアショーなど多岐に渡り活躍。2006年夏、青山に4席の『suburbia』をオープン。”外国人風ヘア”を先駆けて打ち出したことでブレイクし、3年後に14席へ拡張移転。2019年3月、ビル1棟4フロアの大型ビューティサロンに移転。「カミカリスマ」2020年から4年連続受賞。

TikTok: @tokyokamimania

Instagram:@hidenori_hair

 

(文/織田みゆき photo/宮崎洋)

 

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