“外国人風ヘア”の先駆者『suburbia』代表・石川ヒデノリ初登場。東京・青山で4席からスタート、ビル1棟のサロンへと成長させた17年の道のり
ブロー習慣がないお客さまにブロー仕上げは必要?が原点
まだアシスタントだった頃の話です。ある日サーファーの男性が来店されて、先輩からブローしておくように言われたんですね。でも、その方の様子を見ていたら普段ブローしていなさそうだったので、お客さまに直接聞いたんです。そしたら「全くブローはしない」と。「どうせ洗ったら崩れるし乾かすだけでいい」と言われたので、その通りにしたら営業後に先輩に叱られて。当たり前ですよね。でも、そのときに思ったんです。僕も家でブローしないし、先輩も家ではしない。ブローしない人がたくさんいるなら、ブローなしでも決まるスタイルが”売り”になるんじゃないかと。
そこから”乾かすだけで決まる“スタイルを追求し始めたんですけど、最初は全くうまくいきませんでした。実際にやってみると、ブローしないでスタイルを決めるのはすごく難しくて、これはヤバい道を選んでしまったと思いましたね(笑)。でも、ツムジの位置や髪の状態をじっくり観察しながらカットしていたら、いつの日かお客さまから「石川さんに切ってもらうと3ヵ月もつわ」とか、「おかげでクルクルドライヤーを捨てたの」と言われるようになってきたんです。それで、やっぱりこれは間違っていなかったんだなと思い、そこから突っ走りました。
そう言えば、“ブローなしでも決まるスタイル”を売りにした当初、お客さまと表参道でたまたま遭遇したことがあって。そのときに、昨日切ったスタイルが1日でこんなに崩れるの?と衝撃だったんですよね。それで次にご来店されたときに、使っているシャンプーのメーカーや使用量、ドライするタイミング、ヘアケア剤の種類や量などいろいろと聞いたんです。朝も洗髪しているのか、お風呂で入浴剤を使っているのか、サウナには行くのか。そこから髪に何がどう影響しているのかについても、徹底的に検証しましたね。これを始めてから、お客さまのリピート率もどんどん上がっていきました。