あの名店のスタイリストデビューの基準を探れ! Vol.9 「売れたければ必要とされる美容師になれ!」OCEAN TOKYO中村トメ吉さんインタビュー
厳しい修行期間を終え、晴れて憧れのスタイリストデビューへ。といっても、デビューまでの期間やデビューの基準はサロンによってさまざまです。
今回は若い男性客の憧れのサロンで知られる「OCEAN TOKYO」のスタイリストデビューの条件を探ります。同店の特徴は何といっても一人ひとりの個性が強いこと。徹底した自己ブランディング教育をし、Twitterフォロワーが1万人を超えるアシスタントや、デビュー半年で月売り上げ300万を超えるスタイリストなど、実力のある美容師を輩出しています。
「OCEAN TOKYO」のアシスタントはどのようにしてファンを掴み、デビューを果たすのか。代表取締役の中村トメ吉(なかむらとめきち)さんに、熱く語っていただきました。
カリキュラムはなし! デビューに大切なのは人から必要とされる人間になること
-OCEAN TOKYOさんのアシスタントからデビューまでの過程を教えてください。
いきなりですが、OCEAN TOKYOはカリキュラムがないんですよね(笑)。
-えっ、どういうことですか?
アシスタントはカリュキュラム(道筋)があるとそれが答えになり、状況に応じた考える力も、臨機応変さも失われてしまいます。指導する側も同じ。指導カリキュラムがあると、人それぞれに応じた教育ができない。うちは全員がリーダーになれる人間を育てているので、お客さまのために、お店のために、チームのために、今自分が何をやるべきで、どう動いたらいいかを自分で判断し、行動させます。それに対して先輩はどう指導するべきかを考え、共に成長していく目的です。
そして、うちは一人ひとりの個性と自尊心を大切にしているんです。その理由は、OCEAN TOKYOのロゴに描かれたコンセプトである旗が物語っています。このマークに込めたメッセージは「自分の旗を掲げて生きろ」。自社の商品をコンセプトにしている既存の美容室と違って、うちは「人」を売るための教育を意識しているんです。
OCEAN TOKYOのロゴに描かれた旗には「自分の旗を掲げて生きろ」という想いが込められている
-OCEAN TOKYOが求める美容師になるために必要なスキルとは?
求められるスキルには、「テクニカルスキル」、「ヒューマンスキル」、「コンセプチャルスキル」の3つがあります。「テクニカルスキル」は技術力、「ヒューマンスキル」は人間力(人生経験)・マネジメント能力・コミュニケーション能力、「コンセプチャルスキル」は自己ブランディング力・自己客観視能力・将来予測と自己戦略能力です。
この3つは管理職に必要なスキル。本質を見極めるためのものであり、技術だけでは売れない今の美容業界においては新しい教育だと思っています。
デビューできるスタイリストというのは「人から必要とされる価値を持つ人間」です。そんなスタイリストを生み出すためには、こちらが道標を与え過ぎてはダメ。自分で考え行動し責任が取れる人間にならないといけません。また“自分で考え行動し責任が取れる人間”は、必然的に自分のやりたいことを見つけられます。そういうスタイリストは、自分らしく輝くことができるんですよね。