あの名店のスタイリストデビューの基準を探れ! Vol.8 カラーリストになる? それともスタイリストに? キャリアを選べるカキモトアームズ
厳しい修行期間を終え、晴れて憧れのスタイリストデビューへ。といっても、デビューまでの期間やデビューの基準はサロンによってさまざまです。
今回、教育カリキュラムについてお伺いするのは、カラー技術にも定評があるカキモトアームズさん。多くのサロンではスタイリストのみを育てますが、こちらではアシスタントの段階でカラーリストとスタイリストを育てるというシステムを採用しています。その独自のカリキュラムについて、技術教育企画部長の山本寿文(やまもとひさふみ)さんに明かしていただきました。
モデルを呼ぶことができなければカキモトアームズのお客さまの支持は掴めない!
-カキモトアームズさんでは、スタイリストとカラーリストを育てる教育カリキュラムがあるとお伺いしました。デビューまでのカリキュラムの中身を解説いただけますか?
カキモトアームズは多くのお客さまの支持を掴むためには、技術力だけで無く、コミュニュケーション能力が必要不可欠であると考えています。そして「モデルが呼べる=コミュニケーション能力がある」という考えのもと、教育カリキュラムの全てを基本的にモデルで行ないます。各スペシャリストの教育カリキュラムを統括する教育部を設け、各指導責任者を専任で担当する形で、全ての教育を実施しているんです。
スタイリストとカラーリストに関しては、まずは志望に関係なく、シャンプーやヘッドマッサージ、ヘアトリートメント、カラーの基礎研修を3ヶ月間の短期集中で行ないます。その後は、スタイリスト・カラーリストに分かれ、テクニカル講座とサロン実習を兼ね合わせたコースへ。どちらも2年後にはデビューできるカリキュラムになっています。
-2年間というのは短いですね。
でもこの2年間は大変です。内容を凝縮したカリキュラムですので、参加する側の心構えも2年間、24時間、730日、美容漬けになる覚悟がなければなりません。当然、各セクションを担当する指導責任者も必ず期間内にデビューさせる! という相互の緊張感があるので、短期間で基礎的な技術をしっかり身に付けることができます。うちの教育の基本的な考え方はカリキュラムありきではなく、「自分自身が目的に向かって突き進み続ける」という精神がベースとなります。
-デビューが早いタイプと遅いタイプはありますか?
人それぞれですので一概には言えませんが、目標に向かってまっすぐ進む人はデビューが早く、逆に、必要のないところでこだわるタイプは時間がかかる傾向にありますね。
また、人により手先の器用・不器用などがあるので、技術的な部分での習得に時間がかかってデビューが遅れる場合もあります。ただし、モデルを呼んでこられない人は、やる気がないと判断して退社を促すこともあります。“モデルハントができない” というのはイコール“デビュー後もお客さまの支持が得られない”ということ。厳しい言い方ですが、基本的には「2年間でデビューできなければクビになる」くらいの覚悟を持って取り組んでもらっています。
アシスタントには、週休2日のうち、1日は勉強会、もう1日はモデルハントに費やせと。もちろん強制ではありませんが、カキモトの看板を背負ってデビューするには、そういった忍耐の期間は必要だと考えています。
-クビとは厳しいですね。よくあるデビュー前の挫折といえば、どんなことでしょうか?
一番はやはり「モデルを呼べないこと」ですね。技術面は真面目に研修を受ければ習得できますが、モデルハントはコミュニケーション能力が必須で、この力を身に付けておかないとデビューしたときに売れないんです。いくらテクニックがあっても、お客さまの要望を汲み取れなければ意味がありません。
今は、SNSなどで簡単にモデルを探すこともできる時代ですが、そのモデルさんに自分のファンになってもらい、デビューした後、お金を払ってきてもらえるような接客をしないといけない。そのためにはアシスタント時代からコミュニケーション能力を鍛えることは必要不可欠。