あの名店のスタイリストデビューの基準を探れ! Vol.7 デビューをしても教育カリキュラムは終わらない。FLEAR流スタイリストの育て方|松谷良輝インタビュー
デビューが早ければいいってもんじゃない
-美容師としての技術だけでなく、人間力の教育もポイントとなります。FLEARさんでは人間力をどう培っているのですか?
僕はスタッフに、相手を思いやる気持ちを忘れないようにと伝えています。思いやりや感謝の心があるのが人間力のある人。「アシスタントにだって丁寧な言葉遣いをしないといけないよ」って上の人間に指導しています。たとえばアシスタントにものを買ってこさせる先輩っているでしょ。あれはやっちゃいけない。アシスタントは、使い走りをさせるために雇ったんじゃないんだから。使い走りをさせるなんて、アシスタントを大切にしてない証拠。そんなんじゃ人間力は育めない。
-スタッフを大切にされているんですね。デビューの遅いアシスタント、早いアシスタントがいると思うのですが、両者の違いは何ですか?
どれだけ中身の濃い練習ができるか、できないかが違い。成長の早い子は自分の中で課題や目標を作り、日々の練習で克服している。でもね、デビューが早ければいいっていう声も上がるけど、そういう子は往々にして自分勝手な人間になっちゃう危険性もあるんですよ。それでは人間力は付いてこない。
-アシスタントがデビュー前に直面する挫折はありますか?
それ、ないんですよ。なぜなら挫折をしないようみんなでサポートしているから。うちの子ってみんな辞めないんですよ。みんなで育てて、みんなで面倒を見ているから辞めない。よく美容業界の問題として、離職率が高いというのが議題に上がるけど、辞める原因は辞めた子にあるんじゃなくて、辞めさせた状況を作ったお店にある。
-スタッフ全員でアシスタントを育てているんですね。
「入社した子を大切に大切に育てるんだ」という想いをうちの美容師は持っています。そういう想いを持っていると思いやりの心も育まれる。つまり人間力が培われるんですよ。技術も大切だけど、美容師に最も大切なのは人間力。それを持っている美容師が“一人前”だよね。
- プロフィール
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FLEAR
代表/松谷 良輝(まつたに よしてる)
福岡県出身。福岡県で多店舗展開しているサロンFLEARの代表。年間150本以上もの講習活動をするほか、メーカーの各種商材開発のアドバイザーとしても活躍する。
(取材・文/QJナビ編集部 写真提供/FLEAR)