工事現場からヘアサロンへ! 異色美容師の波乱万丈な人生(前編)

人気サロンairで恩師と出会う

 

 

前のサロンでは約4年の経験がありましたが、airではまたゼロからのスタート。僕はairのスタイリストのレベルに達していないと思っていたので、自ら「シャンプーからやります」と志願しました。

 

正直、最初の半年くらいはしんどかったです。「できるのにやらせてもらえない」という歯がゆい感じが、いつも自分の中にありました。もやもやとした気持ちが晴れたのは、渋谷謙太郎(元air、現SUNVALLEY代表)の専属アシスタントになってから。幹部の専属になることはとても誇らしいことだったんです。

 

 

渋谷の下で学んだ2年間はかけがえのない時間でした。とくに、お客さまに対する配慮、気遣いは半端ではなかった。話す内容はもちろん、声のトーンや、案内するときの言葉選びなど、徹底的に学ばせてもらいました。

 

今でも覚えているのは、個室を希望されているお客さまへのご案内時のこと。すでに個室を予約されている方がいて使えない状況だったのですが、ちょうどまだ誰もいない個室のドアが開いていたんです。渋谷はその状況に気づいて、こういいました。「ドアを閉めておかないと、お客さまが「空いているのに使わせてくれないと思うだろう。もっと想像力を働かせろ」と。

 

1時間の予約でも渋谷がお客さまと接する時間は10分か15分くらい。だからこそアシスタントも、渋谷と同じ気持ち、同じ質のおもてなしが求められます。「俺と同じ技術をやるのは無理でも、接客は今からできるはずだから、やってもらわないと」という言葉は、今も忘れられません。(後編へ続く)

 

 

(取材・文/外山  武史  撮影/菊池 麻美)

>後編へ続く

 

プロフィール
SUNVALLEY
店長/忠本 功(ただもと いさお)

山梨県出身。中学卒業後、建設会社に就職し、下水管工事に従事。実家の美容室の拡張にともない退職。山梨県美容専門学校の通信課程で学びながら、山梨、千葉で経験を積んだのち、airに転職。渋谷謙太郎氏の専属アシスタントとして活躍。スタイリストデビュー後は、サロンワークのほか業界誌やファッション誌の撮影でも成果を上げる。大病で一時入院するも復帰し、2018年5月からはSUNVALLEYで理想のサロンづくりに励んでいる。

 

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