工事現場からヘアサロンへ! 異色美容師の波乱万丈な人生(前編)
ワインディング習得まで1年半…! 落ちこぼれからの逆転劇
土木作業員をやめてからは実家の美容室で働きながら、山梨県美容専門学校の通信課程で免許の取得を目指していました。一度は外の世界も知ったほうがいいということで、母親の知り合いが経営する千葉県のサロンに転職。そこは、農作業を終えて長靴のままサロンにお客さまがやってくることもあるような、田舎町のアットホームなサロンでした。
東京のサロンと違い、よそから引っ越してきて一人暮らしをしながら働く美容師はめったにいない環境だったので、お弁当を持たせてもらったり、ご飯をごちそうしていただいたりと、まるで家族のように可愛がっていただきました。
ただし、最初のころの僕はかなりの落ちこぼれ。ワインディングに合格するまでになんと1年半くらいかかりました。自分と同じタイミングで入ったスタッフにもどんどん抜かれて悔しかったのですが、その分、合格の喜びはひとしお。次の日から取りつかれたように練習に夢中になり、朝も夜も関係なく続けた結果、2年上の先輩全員に追い付いたんです。
いよいよデビューできると思ったんですが、そのサロンは先輩より先にデビューできない環境でした。それでも1年間は我慢したのですが、いつデビューできるのか先が見えなかったため、新しい環境に飛び込むことにしたんです。
次に働くサロンを探すときに参考にしたのは、業界誌やヘアカタ、女性誌など。あえてサロン名を見ないようにして、自分がいいと感じた作品を集めました。ヘアメイクにも興味があったので、トータルでできるところがいいと思っていたんです。そんな僕の希望をすべてかなえられる環境が「air」でした。
僕を含めて4人が中途採用の面接を受けて、僕だけ合格。あとで聞いたら、採用の決め手はとにかく真面目なところだったそうです。実績があるわけではなかったので、絶対に遅刻をしないとか、熱意やひたむきさしかアピールできなかったんですよね。土木作業員時代に形成された人間性が、air内定へつながりました。