デザインセンスの原石は、持ち主の“内面”を磨くことで輝きはじめる -美容師ステップアップ-
コンテストは表現の自由を全部出して楽しむ場所
デザインを突き詰めようとすると、自分の弱い部分が壁になってしまうことがあります。その壁は、自分で乗り越えない限り、ずっとついて回ります。壁から逃げないことの大切さを、砂原はさまざまな言葉で教えてくれました。たとえば、コンテストの決勝で緊張して、ここぞというところで力を発揮できず悩んでいたときは、砂原は笑顔で「楽しんじゃいなよ!この大会で、なつきの自由を全部出しちゃえ!」と私の背中を押してくれたんです。それから、コンテストは表現の自由を放つところなんだと考え、楽しめるようになってきました。
今、私は副店長を任されています。これもデザインセンスを磨くことと無関係ではありません。「責任を持ち、いろいろなところに目を向け、心配りができるようになりなさい」という、砂原からのメッセージだと私は受け取っています。副店長になると周りからの見られ方が変わるし、自分の視座も上がります。新しい役割を担うことは、私がもう少し上のステージに行くために必要なんです。
今年に入ってトレードマークだった刈り上げスタイルもやめました。唯一無二の存在感を出そうと思ったことと、変えないことによって徹底的に印象を残すために始めた刈り上げのおかげで、コンテストの審査員のみなさんにかわいがっていただいたり、お客様にも覚えていただきました。しかし、これからのステップとして、私は自分自身ではなく、自分が創り出すものにもっと磨きをかけたいと思い、刈り上げを卒業することにしました。これからは、受け身ではなくどんどん自分から話題をつくれる人になりたい。まだ髪は伸ばしかけですが、ずいぶん伸びてきました。もう刈り上げなくても平気です!
◆転職活動中の美容師へメッセージ◆
やりたいことや、求めている環境がはっきりと頭の中にあり、それが今の環境で叶えられないのなら、サロンを変えるという選択肢もあると思います。美容は楽しいものだから、楽しみながら高みを目指すのはとても素敵です。ただし、今の環境が嫌で辞めるのは、自分の問題を環境のせいにしている部分があるかもしれないのでお勧めしません。まずは自分の気持ちがどちらなのか確かめてみてください。もしかしたら自分の中に、最高のサロンとつり合う自分がいるかもしれませんから。
- プロフィール
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UMiTOS
副店長/渡邊 なつき(わたなべ なつき)
1986年生まれ。愛媛県出身。琉美インターナショナルビューティカレッジ(旧・琉球美容専修学校)卒業後、沖縄県のサロンで約6年間活躍。上京し、砂原由弥氏がオーナーを務めるサロン『UMiTOS』に入社。2016年6月「フジシンジャパンカップ」準優勝。2017年2月、ルベル主催のコンテスト「I.D.」準優勝。
(取材・文/外山 武史 撮影/菊池 麻美)
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