超有名店で長年活躍し、メンズヘアスタイルのカリスマ的存在としてメディアに取り上げられることもある松岡直人（まつおかなおと）さん。有名サロンのブランドを脱ぎ捨て、ゼロから再出発した彼の転職論に迫りました。

数千人が応募するサロンに「ハイテンション」で合格

僕が専門学校にいたころ、「カリスマ美容師ブーム」が起こったんです。その影響をモロに受けた僕は、やるならカリスマを目指したいと思って、ブームの火付け役になっていたサロンを受けました。

応募者数は数千人レベル。選考では広い施設を使って、5人くらいの集団面接を同時並行でやっていました。みんな技術とか接客をアピールしていたんですが、僕は「とにかくテンションMaxで目立つしかない！」と考えたんですね（笑）。そのサロンが出している本を熟読してあったので、サロンの理念と自分の想いが同じだと熱く訴えたんです。

それでなんとか潜り込んだんですけど、超厳しい職場だったのでアシスタント時代は大変でした。でも、お店の人事の問題でスタイリストデビューを早くさせてもらったり、入院した先輩のピンチヒッターをまかされたりとか、いろいろなめぐり合わせもあって、大変な思いをしつつも次第にスタイリストとして売り上げを作っていけるようになってきたんです。

ただ、最後の2年間くらいは、家族の体調がよくなくて毎週、群馬の実家に帰っていまして…。13年くらい東京で好きにやらせてもらったし、自分なりに「やりきった感」もあったので、家族と過ごすためにサロンを辞めることにしました。ところが、病気が快復した家族から「何で帰ってくるの？」と言われて（笑）。だから東京で次の展開を考えることになったんです。