【中国・深圳】夫婦で活躍! 井藤竜也さん、伊良波ひかるさん「ここには ”美容師ができる” 環境がある」
海外に行くと「世界が違って見える」と言われていた
「私の一家はみんな美容師なんです。特に兄はオーストラリアで美容師をしていて、『一度は海外で美容師をした方がいいよ。世界が違って見えるよ』と言っていました。それと、世界を旅して1000人をカットをして『旅人美容師』として有名になった桑原淳くんという人がいるんですけど、彼は私と美容学校の同級生で、知り合いということもあって、ずっとブログを読んでいました※1。彼みたいな、日本の常識とか業界の形式にとらわれない考え方っていいなって思ってたんですね。しかも、まだ深圳に日本人女性の美容師はいないので、私が行けば注目されて、活躍できるかもしれないという話でした。せっかく深圳に夫がいるのだし、どうせ仕事をするならワクワクする方、ドキドキする方を選ぼうと思って、覚悟しました」(ひかるさん)
中国は、反日運動や環境汚染などのイメージが強く、日本では「危険ではないか」という心配の声もあったとか。
「きてみたら、日本で言われているイメージと全然違ってました! サロンのスタッフはほとんどが中国人ですけど、AFLOATで働きたいという子たちは、たいてい日本人や日本のモノが大好き。日本語を一生懸命覚えて、積極的に質問してくれます」
「お客さまからの日本人美容師への期待度も、想像以上でした。本当に、きてみないとわからないことは多い。兄の『一度は海外で美容師をした方がいい』という言葉は本当でした。報道だけで、わかったように話すのはよくないな〜って思っています」
日本で美容師をしていた頃から、毎日ブログを更新していたというひかるさん。深圳にきてからは、サロンの中の様子、スタッフのこと、お気に入りのレストランなど、暮らしぶりを発信するようにしている。
「少しでも、リアルな様子を紹介したいと思って。私のブログは、唯一の日本人女性美容師ということもあってか、深圳で暮らす日本人の女性たちが読んでくださっているみたいです。中国って、ネットに制限があって、基本的にfacebookもtwitterもLINEも使えないんですが、アメブロは大丈夫みたいなので、新たに始めています※2」
※1 桑原淳さん「旅人美容師の1000人ヘアカット世界一周の旅」 http://junkuwabara.com/
※2 伊良波ひかるさん「 AFLOATSHENZHEN☆伊良波ひかるの美容師blog」https://ameblo.jp/afloat-irahahikaru/
日本を背負っているようなプレッシャーを感じます
「ワクワクする方を選ぼう」と、深圳に乗り込んだひかるさん。初めての海外での生活とはいえ、夫婦で同じサロンで働くのだから、夫の井藤さんからはずいぶん助けられているのでは? と聞くと、「全然逆ですよ」とのこと。
「彼はいま店長ですから、身内に甘いと思われたらいけない立場です。だから、私には人一倍厳しいんですよ。正直、その厳しさは想像以上でした(笑)。最初のお客さまを担当したとき、こちらの人のテイストは日本人とは違うはずだし、どんなスタイルにしたらいいか、彼からアドバイスがもらえると思ってたんですね。ところが、一切助けてもらえませんでした。多分『深圳でやっていくと覚悟を決めたんだから、自分でやれ』ということだったんだと思います」
ひかるさんは、井藤さんの厳しい「放置」のおかげもあって、1年間かけて深圳でやっていく自信がついていったと言います。もともと、ひかるさんは「仕事大好き人間」。職場でも家でも、「美容」や「仕事」についてならいつまでも話せる! というタイプだそうで、現場では助けてもらえないものの、やはり、パートナーの井藤さん存在は大きかったとのこと。
「最初はケンカもたくさんしましたけど、今は全然しません。共に戦うパートナーです。私、銀座でのスタイリスト経験があって、技術には自信があったんですね。それでも、やっぱりこちらで美容師をやっていくというプレッシャーは大きいと感じています。AFLOAT shenzhenは、日系サロンとして高い価格帯でサービスを提供しています。お客さまは8割が中国人です。そのお客さまが期待しているものって『日本の一流美容師』なんですね。すると、オリンピック選手じゃないですけど、『日本を背負ってる!』と思えるようなプレッシャーを感じちゃうんですよ」
同じプレッシャーは、夫の井藤竜也さんも感じているといいます。
「うちに、50,000元(約85万円)のクーポン券があるんですけど、初来店で僕を指名して、まだ僕に会う前からこのクーポン券を購入された方がいたんです。それって『日本を代表する、一流の美容を受けたい』という気持ちの表れじゃないですか。僕もいろんな経験をして大抵は動じないつもりでしたけど、さすがに、どれくらい高い期待をされてるのだろうとビビりました。ちなみに、このクーポン券は結構売れてるんです。それだけでも、深圳に住む方の経済状況がわかると思います」