【中国・深圳】夫婦で活躍! 井藤竜也さん、伊良波ひかるさん「ここには ”美容師ができる” 環境がある」
いま、「中国のシリコンバレー」としても知られる中国・深圳(シンセン)市。1980年に生まれたばかりの特別経済特区で、急激な成長を遂げています。国内だけでなく、海外からも多くの人がビジネスのために住み始めており、人口は約1400万人に成長。今も人口は増え続けており、20〜30代が人口の65%を占め、65歳以上の高齢者は全人口の2%しかいないと言われています。
この深圳市内に4店舗を展開するサロン「AFLOAT shenzhen」に、日本人美容師の井藤竜也さん、伊良波ひかるさんご夫婦が勤めています。ひかるさんは、市内で唯一の日本人女性美容師なのだとか。2人が深圳で働くことになったきっかけと、深圳での美容師としての生活についてお話を伺いました。
いい仕事をすれば認められる実力世界
東京・表参道のサロンで共に働き、一時、別々のサロンで働いた後に結婚した井藤さんとひかるさん。最初に深圳行きを決断したのは、井藤さんでした。2014年、今から4年前、単身での移住です。
「人口や経済がシュリンクして、集客に苦労するようになってきた日本の市場に比べて、中国は明らかに成長市場です。20代後半になって自分の実力が試せるところはないかと、情報を集めていたところ、『AFLOAT shenzhen』のオープニングの話を聞き、深圳にくることを決断しました」
AFLOAT shenzhenは、言わずと知れた日系サロンだが、現地オーナーは香港人。現在、日本人スタッフは井藤さん、ひかるさんを入れて4人だけ。他の100人近いスタッフは全て中国人スタッフで、技術管理も日本人たちが担っています。
顧客は、駐在する日本人もターゲットだが、コアターゲットは、現地の富裕層クラスの中国人。この4年間でカラーの需要を伸ばしていき、カットのカラーが主流に。現在、井藤さんのカット料金は、538元(約9,000円※1)。ロングヘアの場合、カットとカラーをセットにして約40,000円ほどの客単価だといいます。
「最初の頃は、中国人の女性の中でカラー文化がなく、黒髪至上主義だったんですが、軽さを出すなら断然カラーですよ、うちでやるなら全然痛みませんよ、と地道に声がけをして需要を伸ばしました」
「こちらは完全歩合制で、美容免許もありません。だから、美容師のスキルに差がありすぎるんです。逆に、腕のいい美容師だと認められれば、報酬はすぐ上がっていきます。サラリーマンの平均月収が5000元(約83,000円)のところ、うちのトップクラスの美容師ですと10万元(約160万円)くらい稼げます。僕はまだ及びませんが、3年いてもまだ、どんどんお客さまは開拓できるという実感はあります」
「中国のシリコンバレー」といわれる深圳ですが、集客サイトよりも「クチコミ」が一番有効なのだとか。
「こちらのお客さまは、一度気に入ってくれると、家族、友だち、同僚など、次々に紹介してくれます。こちらでは、チャット用アプリ『WeChat』が主流なのですが、プロモーションもしていないのに、どんどん友だち申請してくれて、『●●の友だちだよ、今度行くからよろしくね』と連絡がくるほど、クチコミが手堅い。おかげで、さほど集客に力を入れずに、『いま、目の前のお客さま』に集中できているかなと思います。これこそが望んでいたことだったので、とても満足です」
そして、2017年4月からは、妻のひかるさんも深圳に。当時銀座の有名サロンで働いていたひかるさん。結婚当初は、「それぞれ活躍の場所があるのだから、別々という形でも」と考えていたとか。しかし、家族の勧めもあり、深圳行きを決断したそうです。
※1 2018年2月現在の為替レート 中国元1元=日本円 16.7円 で換算