【SENSE OF HUMOUR木村あつ子】美容師×農作!? モードを体現する女性美容師のメンタルポジティブの源とは?
厳しい環境で気づいた、大切にしたい美学
――美容師歴11年目を迎えた木村さんですが、これまでどんな風にキャリアを積んできたのでしょうか?
新卒で入社したのは、都心に店舗展開する人気サロンです。技術については厳しく仕込まれましたが、それ以上に錬成されたのが感性の磨き方です。美意識の高いお客さまが多いので、スタッフにもそれ以上のものが求められましたし、周りのスタッフたちも意識高めな子が多かったです。そんなアグレッシブな環境で、3年間のアシスタント期間を経てデビューしました。
デビューしてからは、さらに競争を強いられていました。どうやったら顧客を増やせるか。売上を伸ばせるか。当然なのですが、クリエイティブを求める一方で、ビジネスライクな対応も必要なんですよね。売れるヘアデザインの提案、効率重視のサロンワークなどに違和感を感じるようになったんですよ。なんか機械的になってしまうというか、自分の感情がなくなってしまうというか。
やがてフリーランスへの転向も視野に入れて転職を考えるようになって。そんな風に進路を迷っていたタイミングで、前職でお世話になっていた先輩が経営する個人店に転職したんです。
――木村さんがインスタグラムに注力するきっかけになったのが、その転職ですね。
SNSのイメージ戦略など、ブランディングを重視するサロンでした。おしゃれな世界観を掘り下げた表現方法や、ビジュアル作りについて学ばせてもらいましたね。鋭い感性を持っている人が多くて、たくさんの刺激を受けました。
ただ、これまでにマス向けにやってきた仕事が、バランスが取りずらくなり、一時は売上を大幅に落としてしまったことも。そこで1年後に退社し、自分のビジネスとクリエイティブのバランスを整えて、新たに自分を確立するためにフリーランスになったんです。
――しかし、フリーランスは3カ月と短期間でしたよね。どういう背景があったんでしょうか?
一言で言うと、サロンの環境ですね。これまで一流サロンと呼ばれるような場所で、オシャレを追求するスタッフに囲まれて育ってきた私には、なかなか適応できなくて(苦笑)。所属するスタッフは、育ってきた環境もバラバラだし、技術レベルもジャンルもそれぞれ違います。大手予約サイトを通じて集客するシステムなのですが、料金やメニューも人によって違うし、かなりの頻度で予約ミスも発生していました。それにヒットチャートが延々に流れるBGMも、空間も、今までのサロンとは違う空気感。なんというか、コンビニのような場所なんです。
私のお客さまもこのサロンには驚かれていて。この場所では、せっかく繋いできたお客さまの信頼も失ってしまうのでは、という不安もありました。自分が成長できる環境ではないな、と早々と悟り、新しい場所を探し始めました。SENSE OF HUMOURというサロンを知ったのはそんな時です。