7年後は100兆円の市場規模に! シニア専門のヘアメイク赤坂渉さんが見つけた本当の価値
1年で事業に歯止めがかかる! 起死回生の理由とは?
写真館を開設したころは、今のように認知されていなかったので、集客には苦労しました。1年を迎えたころには、倒産寸前の状況。お客さまがいないので、自分の顔でメイクの練習をしていたほどです。認知拡大と施術スキルの向上を目的に、老人ホームやデイサービスにボランティアでヘアメイクと撮影をしに行っていた時期もありました。
勢いに火がついたのは、たまたまテレビで取り上げていただいたこと。その後はお客さまの口コミや紹介もすごく大きかったですね。シニア世代のみなさんは、ジムとかに行ったらそのあとはお食事をしたり、お茶やお菓子を食べたりとコミュニティのネットワークが広いんですよ。そうすると「この前えがお写真館ってところに行ってきたんだよね」って、できあがった写真を見せるという現象が起き、口コミで広がっていくんです。おかげで、うちは今でも広告費が必要ありません。
サロンメイクとモデルメイクは提案の発想が違う
僕は、一般のお客さまを担当するヘアメイクと、モデルさんを相手にしているヘアメイクとでは、提案の発想が違うと思っています。一般のお客さまの場合は、ヘアメイクの「絶対これをやりたい」という考えより、お客さまのやりたいことのほうが重要なんです。必要なのは、相手の求めていることに合わせつつ、さらに引き上げていく力。
ヘアメイク事務所で活動していたころと違い、自分が「いい!」と思ったことを引っ込め、寄り添う柔らかな技術に価値を覚えるようになりました。4,000~5,000人のさまざまなタイプの方を担当し、経験を重ねていくうち、お客さまの数だけ正解がある。正解は自分の中ではなく、お客さまの中にあるという考えが強くなりました。
うちにこられる方は、結婚式以来自分の写真がないことを気にされている方や、自分へのご褒美としてメイクして写真を撮りたい方など目的はさまざま。ですが、どの方も「見たことがない、自分らしい自分に会いたい」というお気持ちでいらしてます。シニアの方は、そのお顔で何十年も月日を積み重ねてこられているので、そのすべてを変えられてしまうと普段のその方を否定されたように感じるんですよね。
なので担当するときは、普段のどのくらいメイクしているのかなどを聞き、どんな自分が見慣れているのかを確認します。相手に寄り添いながら作っていくことを大切にしたいんです。