苦境を経験し「仕事に命をかける」ことにした。強力な武器を手に入れ、新体制で勢いが加速する ―10年サロン「STRAMA」のブランディングストーリー後編
店長を目指し、スタッフが切磋琢磨。キャリアアップの道を作るのも仕事の一つ
今、うちでは「Road to 店長」という飲み会を定期的に行っています。この飲み会は僕とサシで飲みに行ったり、数人で飲みに行ったりして、夢を熱く語るというもの。この影響もあって、「店長になってやる」という野心のあるスタッフが、今の『STRAMA』にはたくさんいます。そういう熱意があるスタッフのことが大好きです。
実際に店長の道があることは、夢物語ではありません。彼らが成長して店長を務められるレベルになれば、僕らは店舗展開はせざるをえません。スタッフには「店舗を出す準備はできている。もっと頑張って店長になれる実力をつけてくれ!」と言い、次のキャリアを目指してもらっています。
高橋とも話しているのが、今後若いスタッフが活躍できる場をつくれないと、会社の発展はない、といこと。やっぱり、美容業界は教育産業ですから、指導して、その人が頑張れば店が盛り上がる。その基本を大切にしていきたいんです。
未来 下の世代に還元期
長く続けてきた味のあるプレイヤーが、輝ける美容業界を作りたい
今後は、店舗展開を進める上で、いつか『CALVARi』の名前を復活させられたら、と高橋とは話をしています。やっぱり『CALVARi』の看板を下げてしまっていることが僕の中で引っかかっているんです。
僕個人の展望は、美容師として25年近く働いてきた経験を生かして新しいことに挑戦すること。具体的には決まっていませんが、クリエイターとしても、ヘアだけでなくライフスタイルやファッションをクリエイションすることにエネルギーを注いでみたいと思っています。
あと、最近感じるのが僕は大きな家とか、いい車とかには興味がそんなにないということ。家族と出かけたり、スタッフや友だちと楽しい時間を過ごせたり、趣味に没頭できたり、仕事が忙しいことで満たされる生活を豊かだと感じます。
VANたちとやっている「中二会」の活動もまさにその一つ。満たされているけどハングリー精神もある大人が集まって、童心に帰れる場所があるのは本当におもしろいです。
美容師に限らず、どんな職業でもそうかもしれませんが、仕事って、20年とか、長く続けてみないとわからないものですよね。40代、50代になって味が出てくる人もたくさんいますから。昔より長く働けるようになった今は、そういうプレイヤーがどんどん増えてきています。僕もその一人として、義理を通すところは通して、真面目に腕を磨いてきた美容師が輝ける美容業界を作っていきたいと考えています。
- プロフィール
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STRAMA
代表/豊田永秀(とよだながひで)
愛知県出身。中部美容専門学校卒業。愛知県内のヘアサロンに務めた後、1995 年に上京し『DaB』入社。2002年JHA優秀新人賞を受賞。2005年に独立し、東京・代官山に『STRAMA』設立。2011年の9月に表参道へ2店舗目を出店。その後、代官山店はクローズし、表参道店に注力。2017年に東京・南青山へ移転。「CALVARi」とジョイントし新体制のもとに南青山でスタートする。
(取材・文/小沼理 撮影/河合信幸)