一つの夢は東京オリンピックに携わること。ハサミを置いた美容師が目指すグローバルな組織とは? ―10年サロン「SHINKA」のブランディングストーリー後編
未来 組織確立期
スタッフがやりがいを感じられる、唯一無二の会社へ
『SHINKA』に募集してくれる子は、英語を学びたい、海外で活躍したいという気持ちが最初から強いです。採用では、その中でどれだけ自分のビジョンをしっかりと持っていて、実現するパワーがあるかを重視しています。青山・原宿エリアの経営者の方と話すとみなさん求人が減っていると嘆いていますが、『SHINKA』はむしろ求人数は増えています。それだけグローバルに活躍したい美容師が増えてきているということなのでしょう。
また、2020年の東京オリンピックに向けて、今は旅行客が増えています。日本人ではあまりないのですが、海外の人は旅行のついでにサロンで髪を切ることがあるんですよ。そうした外国人観光客の中で、『SHINKA』の評判が口コミで広がっているそうでうれしいです。
『SHINKA』のようにスタッフのほぼ全員が英語で接客できる美容室は多くありません。これは1、2年で築けるものではなく、長い時間をかけてやってきたからこその強み。今後もこの強みは生かしていきたいです。
今後は東京オリンピックの選手村にスタッフを派遣したり、セレモニーのヘアメイクを担当したりといったチャンスを狙っています。同時に、美容業界全体のグローバル化に向けた底上げにも貢献したいです。具体的には、海外で働きたい美容師向けのセミナーや、逆に海外から日本に技術を学びにきた美容師のサポートができるといいと思っています。
そして、何より大切なのがスタッフの労働環境を整えること。みんなの不満が出てから対策をするのではなく、先手を打って環境を整えていきたいです。オーストラリアでは1ヵ月間の有休があるのが当たり前なのですが、いきなりそれを取り入れるのは難しくても、日曜日に休みを取りやすくするなど、日本なりのやり方で変えていくことはできるはずです。こうして、もっとスタッフがやりがいを感じられる制度を充実させて、唯一無二の会社を作っていきたいですね。
- プロフィール
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SHINKA Group Pty Ltd
CEO/Ryo
オーストラリアのシドニーに本店を持つヘアサロン「SHINKA Hhair Ddesign」の代表取締役。専門卒業後、青山の有名店に入社。21歳のときに原宿の美容室の店長に就く。24歳で渡豪し、オーストラリアのヘアサロンの代表に就任。その後、28歳で「SHINKA」を設立。現在は、シドニーに4店舗、東京都内に2店舗。総勢60名以上のスタッフ全員が英語対応可能なグローバル・のヘアサロンを展開しながら、セミナー講師などとしても活躍中。40歳で美容師を引退。
(取材・文/小沼理 写真/河合信幸)